子どもの権利守る活動に力 〜 子どもの権利特別委員会

NPO法人子どもセンター「パオ」設立!


子どもは,周囲の大人に守り支えられることなしに生きていくことは困難です。しかし,最近話題となっているいじめによる自殺問題を始めとして,体罰,学校崩壊,不登校,虐待,少年非行等自分の力だけではどうしようもない問題を抱えた子どもが現実にはたくさんいます。私たちは,どの子にも安心できる環境の中,伸び伸びと成長して欲しいという願いから,子どもの権利を守るべく日々活動しています。


1 子どもの人権相談

委員会メンバーが,毎週土曜日に栄法律相談センターにていじめや不登校,虐待問題等子どもの人権に関する法律相談を無料で行っています。原則として予約制・面談制ですが電話によるご相談も受け付けております。  (お問い合わせは栄法律相談センターまで052・252・0044)

2 子どもに関する法制度への対応

教育基本法,少年法など子どもに関わる法制度について子どもの権利保護の立場から,また少年事件,虐待事件等子どもの事件の現場に関わる者の視点から意見を述べ,実情に沿った適切な法制度となるよう働きかけています。

また,家庭裁判所や少年鑑別所との協議を重ねたり,少年院,児童自立支援施設等を訪問したりしてより良い法の運用を目指しています。

3 付添人活動の充実に向けて

少年審判において弁護士は「弁護人」ではなく「付添人」と呼ばれます。残念ながら少年事件にはほんのわずかな重大事件を除いて国選弁護のような制度がない為委員会メンバーが中心となり,できるだけ多くの少年事件に付添人として弁護士が関わることを目指しています。

「子どもでも罪を犯したのだから少年院へ入れるべきだ」と思われるかもしれません。しかし,少年事件に関わってみると非行の背景には子どもの生育環境に問題のあることが多いのを実感します。虐待を始めとする耐え難い家庭環境を知ると「この子の非行を私たち大人が責めることができるのか」と思うことがあります。落ち着いて暮らせる環境が得られれば社会の中で支援されて立ち直ることができる子どもたちも多くいるのです。

4 補導委託先の開拓

補導委託制度とは,家庭裁判所が民間のボランティアの方に非行のあった少年を預かって頂くようお願いし,しばらくの間(三ヶ月程度)少年の様子を見た上で最終的な処分を決めるという制度です。数ヶ月の様子を見た上で処分を見極めることは成人に比べて可塑性(更生の可能性)の高い少年においては適切な制度です。しかし,住み込みが基本であることや,民間の方のご協力が欠かせないことから委託先を見つけることは容易ではありません。社会の中で立ち直っていく力があるのに委託先が見つからないばかりに,少年院送致になったという辛い経験もあります。そこで,当委員会と名古屋家裁の補導委託先開拓のプロジェクトチームとで協力し,市民の方々に少年事件の現状や補導委託先の重要性を広くご理解いただくよう活動しています(委託先の情報提供等がございましたら愛知県弁護士会までお願いします052・203・1651)。

5 シェルターの設立

子どもの事件に関わる中で子どもに必要な安心できる緊急の居場所が足りないと痛感することがあります。虐待があるため安心して家庭に戻すことができない子や,生活の本拠となる居場所や職場を確保できないために少年院に行かなければならない子に出会ったとき「行き先が見つかるまでの間、この子がしばらくの間安心できる居場所があれば・・・。」という壁にぶつかるのです。児童相談所の一時保護所や、児童養護施設,自立援助ホームなどの施設もありますが、年齢や定員等から、緊急の対応が難しい場合もあります。しかし,目の前にいる今晩泊まるところのない子どもを放っておくことはできません。委員会のメンバーには,やむを得ず事務所に泊めたという経験がある者もいます。一時的に暮らす場所があればその間に子どもの落ち着く先や仕事を見つけ出す援助ができるのです。

長年このような悩みを持ち続け,ついに愛知県に子ども向けのシェルターを創ろう!という画期的な発想の下,当委員会の有志と児童福祉関係者,大学教員,精神科医,ジャーナリストなどによって,昨年十二月にNPO法人子どもセンター「パオ」が設立されました。パオは,シェルターとして使用する土地・建物を既に取得しています(ただ,実際にシェルターとして使うには改修工事が必要です)。また,シェルター事業を担う人材育成のために専門的な研修を行うなどして,事業の開始に向けた準備が進められています。シェルターを運営していくにあたっては多くの資金や人材が必要となり,市民の皆様のご理解が欠かせません。これまでにも市民の皆様から,色々な形でのご支援をいただいています。(お問い合わせは「パオ」事務局まで052・951・1680)。

このシェルター事業が成功すれば,切実な悩みであった子どもの安全な居場所を確保するという問題を解決する第一歩となります。

当委員会は今後も「パオ」の運営に協力して共に子どもの権利の現場を改善していきたいと思います。