非公開会社の株主総会(その2)

社長

さて、先回の続きを頼むよ。

弁護士

その前提として、株主総会の招集通知に添付する必要のある書類についてお話しします。取締役会設置会社では、計算書類と事業報告並びにこれらの附属明細書を添付しなければなりません。

社長

今までと一緒じゃないの?

弁護士

これまで利益処分案と言われていた書類が株主資本等変動計算書という書類に変わりました。これは、損益計算書を経由しない準備金や剰余金の変動を記載した書類です。一定の会計監査人設置会社では、いつでも取締役会の決議で配当が可能になったこともあって、株主資本等変動計算書という書類に変更になっています。

社長

ウチは、会計監査人はいないよ。

弁護士

それなら今までのように株主総会で配当を決議するとしても、書類の変更に対応していただく必要はありますよ。

社長

うーん、慣れるまでが大変そうだなぁ。ところで、株主総会での決議の要件は変わってないね。

弁護士

普通決議の場合に、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その過半数の賛成で可決されることは同じです。

社長

普通決議じゃない決議っていうのは何?

弁護士

資本減少、現物配当、定款変更などは、議決権を行使することができる株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、その三分の二以上の賛成が必要な特別決議をする必要があります。また、極めて例外的に行われる特殊な決議もあります。

社長

ややこしいなぁ。その都度相談するから特別決議と特殊な決議はまた教えてよ。

弁護士 わかりました。そういえば、株主総会の議事録も変わりましたよ。これまでは出席取締役全員が議事録に書名・押印する必要がありましたが、これからは議事録作成取締役だけの記名で足ります。
社長

そこは少し楽になったんだね。

弁護士

それと、株主総会終了後に遅滞なく貸借対照表を公告しなければなりません。これまでも義務だったのですが、実際には公告していない会社が多かったようです。しかし、今回の会社法制定によりこの義務の履行が厳しくチェックされるようになるのではないかと言われています。違反したら一〇〇万円以下の過料に処せられます。

社長

えーっ、罰則があるのかい。これも大変だねぇ。

弁護士

ただ、これまでの公告方法が官報や日刊新聞紙に掲載する方法で公告していた会社であれば、要旨を公告するだけで足ります。また、要旨だけではダメですが、ホームページに掲載する方法で代えることもできますよ。

社長

どちらの方法にしても、新たな対応が必要だなぁ。

弁護士

法律が変わったのですから、新たな対応をする必要があることはやむを得ません。さぁ、どんな事項を議題とするかから具体的に検討しましょう。そのための顧問弁護士ですからね。