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社長 |
会社法が変わったんだって?
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弁護士 |
えぇ、既に5月1日から施行されていますよ。
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社長 |
不勉強で情けない話なんだが、ウチの会社は6月決算なんだ。新しい会社法に従って株主総会をしないといけないようだね。
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弁護士 |
そうですね。
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社長 |
具体的には、どんな風に進めればいいの。
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弁護士 |
前提として確認しますが、社長の会社は、株式の譲渡制限が定められていましたよね。
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社長 |
株の譲渡に取締役会の承認を要するって制度のことだね。それなら定めてあるよ。
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弁護士 |
では、取締役会はありますか。
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社長 |
そりゃ、これまでの商法で、取締役は3人以上とされていたから取締役会もあるよ。
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弁護士 |
では、株式譲渡制限制度があり、取締役会もある非公開会社の株主総会の手順をお話しします。
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社長 |
ちょっと待ってくれ。取締役会がないと何か違うのかい。
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弁護士 |
ええ、取締役会がない株式会社では、あらゆる事項を株主総会で決められますが、取締役会がある会社では、決議できる事項が限られています。後で適宜お話しします。
まず、株主総会の招集は、総会開催日の原則として1週間前に招集通知を発送してください。ここで注意を要するのは発送日と開催日の間に1週間空ける必要があります。例えば木曜日に開催するなら前週の水曜日に発送する必要があります。
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社長 |
今、原則として1週間前と言ったのは何でだい?
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弁護士 |
書面による議決権行使やインターネットによる議決権行使を認める場合には、2週間前に発送する必要があるからです。
この招集通知には、日時・場所、総会の目的事項、書面や電子メールによる議決権行使を認める場合にはその旨を記載しなければなりません。ただ、総会の開催場所は、従前は本店所在地の市町村または隣接する市町村に限られましたが、今はどこでも開催できます。
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社長 |
へぇ、便利といえば便利だね。だけど、招集通知を出すのは、面倒だなぁ。楽する方法はないの?
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弁護士 |
株主の承諾を得て、電子メールで招集通知に替える方法はあります。また、同族会社などで株主数が少ない場合には、株主全員の同意があれば招集手続は不要です。なお、取締役会が設置されていない会社では、書面や電子メールでなくても口頭や電話でもかまいません。
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社長 |
うーん、取締役会を廃止しようかな。
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弁護士 |
そんなに簡単な話でもないですよ。後でお話しする議題提案などの問題がありますからね。これは、株主総会では、招集通知に記載された目的事項を総会で審議することになりますが、取締役会が設置されていない会社では、株主はいつでも、極端に言えば総会の最中でも議題提案権を行使できるという制度です。
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社長 |
議題提案権って何。
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弁護士 |
招集通知に記載されていない議題を審議するよう請求する権利です。取締役会設置会社では総会開催日の8週間前までに請求しないと行けないのですが、取締役会が設置されていない会社ではいつでも請求できます。
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社長 |
株主総会の最中に、急に株主から議題を提案されても対応しないといけないってことか。それは大変だな。でもまぁ、ウチは関係ないね。
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弁護士 |
そうとも言えません。会社法で取締役の解任は、これまでの3分の2以上でなく、過半数の賛成でできることになりました。気楽に株主総会を開催したら、総会の最中に社長を取締役から解任する議題が提案されて可決されることもありえますよ。
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社長 |
脅かさないでくださいよ。
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弁護士 |
株主総会での決議等については、次回お話しします。
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