会報「SOPHIA」 平成27年6月号より


イーブルなごや相談室との懇談会



両性の平等に関する委員会 委員
岡 村 晴 美


 はじめに

6月10日、当会館において、イーブルなごや相談室との懇談会がひらかれました。
 イーブルなごやとは、名古屋市男女平等参画推進センター・女性会館の愛称です。「対等・公平」を表すEVENと、「できる・可能」を表すABLEを組み合わせたE-ABLE(イーブル)という言葉で表されるとおり、男女共同参画と女性教育を目的としています。
 当会との関わりとしては、女性の権利110番の共同実施のほか、女性への人権侵害相談・女性弁護士による一般相談といった定例の法律相談、法律セミナーの開催を行っています。


 相談事業

イーブルなごや相談室では、法律相談のみでなく、女性の直面する複合的な悩みや問題を受け止め、気持ちを整理し、自立に向けて解決策を見出すことを目的とする総合相談を行っています。昨年度の個別相談件数は3631件に上り、ニーズが多いことがわかります。そのため、相談室では、相談者の利便性に配慮して、相談員を1名増員し、昼休みも継続して電話相談を行うようになったそうです。相談の内容としては、「暴力(DVを含む)」「夫婦」に関する相談が特に多く、次いで、「こころ」「家族・親族」「人間関係」に関する相談が寄せられているとのことでした。
 こうした女性相談とは別に、名古屋市の男女平等参画推進室として、男性を対象とする電話相談(「男性相談」)を実施していることも紹介されました。


 グループプログラム

DV被害者やシングルマザーに対しては、個別相談のみでなく、孤立感の軽減や精神的支援を目的にサポートグループの実施、DVの理解や安全のための工夫、セルフケアなどを伝える講座の開催、心身の不調に対し、からだへの働きかけを通してストレスを軽減するボディワーク等、さまざまなグループプログラムを行っているとのことでした。
 こうしたグループワークは、DV被害で苦しみながらも自分に起こっていることの情報が足りていない人、法律にのっとった手続をとっているのに自責感に苦しんでいる人、心に問題を抱えている女性たちを、精神面、情報面でサポートし、DV被害に苦しむのは自分1人ではないということがわかるきっかけになったり、心の整理ができたりする効果があります。弁護士がDV事件を扱う際にも、離婚手続を終え、事件としては終結しても、孤立感や被害者意識の強さから心からの解決には至っていない依頼者もいると思います。そういうときに、グループワークを紹介するということも有効な方法の一つだと思いました。こうした試みを行政が行っているということも、依頼者には安心感があることでしょう。


 おわりに

懇談会では、イーブルなごや相談室の相談員から、当会の会員に対して、DV事案の離婚調停の実情や、ADR、保護命令の運用、ハラスメント事案やストーカー事案に関する法的対応に関する質問がなされるなど、弱者の立場におかれている女性の支援に関して活発に議論がなされました。懇談会の終わりには、女性をDVやセクハラといった暴力から解放し、男女共同参画社会を推進していくためにも、行政と弁護士会との連携が不可欠であり、今後もよりよい支援ができるよう双方でつとめていくことが確認されました。