会報「SOPHIA」 平成27年3月号より


公害環境委員会 豊明市視察

〜再生可能エネルギー普及等の調査



公害対策・環境保全委員会 委員
家 田 大 輔


1 はじめに

2月17日に、公害対策・環境保全委員会の委員で、再生可能エネルギー等に取り組んでいる豊明市の視察を行った。以下、視察の内容について報告する。


2 有機循環推進事業について

豊明市は、大量生産・大量消費から資源循環型社会への移行を目指し、生ごみ堆肥事業に取り組んでいる。そこで、豊明市の有機循環事業を調査するため、豊明市沓掛堆肥センターを視察した。

堆肥センターでは、分別収集された生ごみを堆肥にしている。堆肥センターで作られた堆肥は、農地に還元され豊かな土壌をつくり、その農地で野菜を作り、野菜は食卓に供され、その後、排出された生ごみが再び堆肥センターに持ち込まれる。このように豊明市は、有機循環を目指している。

豊明市が、有機循環事業に取り組むようになったきっかけは、住民が立ち上げたものを、住民から行政主体で実施するように要請され、豊明市が取り組むようになったことにある。有機循環を行うには、生ごみの分別等に対する市民の理解が必要であり、市民・NPO・行政が連携している。


3 豊明市新エネルギー推進計画

さらに豊明市は「豊明市新エネルギー推進計画」を策定し、再生可能エネルギーの普及に取り組んでいる。例えば、豊明市内の小中学校の屋根を太陽光発電事業者に貸し出している。そこで、このような豊明市の屋根貸し事業を調査するため、続いて豊明市立唐竹小学校を視察した。

唐竹小学校の屋根には、50KWを発電する太陽光発電パネルが設置されている。これは、一般家庭の10〜12軒分の電力に相当する。なお、小学校の屋根という事情から安全面にも配慮し、太陽光パネルの設置角度は、効率性を一部犠牲にしている。

また、太陽光発電は、環境教育にも用いられている。児童の下駄箱口には、太陽光パネルの稼働状況がわかる液晶モニターが設置され、児童が太陽光発電に関心を持つことができる。さらに、災害時には、太陽光により発電された電力はこの小学校のコンセントで利用される。

市民参加・地域貢献・環境教育への貢献に対する理解が屋根貸し事業の選考基準である。


4 再生可能エネルギー普及へ向けた理念

最後に、豊明市役所において、環境課職員から豊明市が再生可能エネルギーの普及に取り組む理念などの聞き取り調査をした。

福島原発事故後、市民の有志が再生可能エネルギーの技術を生かしたエネルギーの地産地消を考える会を立ち上げ、その発展形として豊明市新エネルギー推進委員会が発足した。豊明市は推進計画として、「地域のエネルギーで豊かに暮らす町」を目指すことになった、とのことであった。


5 最後に

今回の視察で、豊明市が再生可能エネルギーの普及に積極的に取り組む姿勢が確認できた。今後、このような活動が他の自治体にも広がることを期待したい。