閣議決定反対!集団的自衛権行使反対 愛知大集会・パレード
第二次安倍内閣は、平成26年7月1日、従来の日本政府の憲法解釈を変更し、日本国憲法のもとでも集団的自衛権行使ができるという閣議決定を行いました。平成27年内にも集団的自衛権行使を具体化する法整備を行うと言われています。
当会は、憲法の平和主義、立憲主義の観点からこの動きに反対し、1月17日(土)、久屋大通公園久屋広場にて「閣議決定反対!集団的自衛権行使反対 愛知大集会・パレード」を開催しました。他会を含め約350名の弁護士が集まり、一般参加者をあわせると約3000名が参加した大規模な集会・パレードになりました。
集 会 宣 言
日本国憲法は、人権保障を中心的原理とする立憲主義の憲法です。
そして、戦争が最大の人権侵害をもたらすものであることから、前文及び9条を中心に戦争放棄・戦力不保持という恒久平和主義を定めています。日本政府は、これまで一貫して、この日本国憲法の下では、日本が直接武力攻撃されていない場合に武力を行使する集団的自衛権は認められない、としてきました。これは日本国憲法発布後、憲法の条項の中でもっとも議論がたたかわされ、政府及び国会の憲法解釈が積み重ねられた結果、確立した揺らぎない憲法解釈です。
しかし、2014年7月1日、安倍内閣は、日本が直接武力攻撃されていない場合であっても武力を行使することができる、という集団的自衛権行使容認の閣議決定を行いました。
この安倍内閣による閣議決定は、まず、日本国憲法の恒久平和主義に反するものです。閣議決定では、集団的自衛権を行使できる場面を限定しているかのようにうたわれていますが、実際には、時の政府の判断で日本として他国へ武力を行使できるおそれが極めて大きい内容です。実質的には、日本から他国への先制攻撃を行うことになりかねません。これは、戦争を放棄し、戦力を保持せず、武力行使以外の方策によって紛争解決を図るべきとした日本国憲法の恒久平和主義に大きく反します。
のみならず、この閣議決定は、立憲主義を否定するものです。そもそも、憲法とは権力を制限する規範であり、すべての人が個人として尊重されるために最高法規として国家権力を制限するものです。この立憲主義の立場に立つ日本国憲法について、時の政府が、憲法改正手続きを経ることなく閣議決 定によって確立した憲法解釈を変更しようとすることは、立憲主義を破壊するにひとしい歴史的暴挙です。
今、私たちは、平和主義の危機、立憲主義の危機に直面しています。
本日、ここに平和と自由を愛する多数の市民が集いました。私たちは、平和と自由を愛する者として、次の世代、その次の世代にも、日本国憲法とともに、平和で自由な日本を手渡してゆくことを決意し、そのために今後もともに行動してゆくことを、ここに宣言します。
集団的自衛権行使反対愛知大集会 参加者一同
法律家として、今!
憲法集会実行委員会 実行委員長
冨 島 照 男
1月17日の集会・パレードには、約350名の会員にご参集頂き有難うございました。2500人を超える市民の参加者と共に栄・大須の街を歩いて、大きな声でその違憲性を訴えました。テレビ・新聞をみて頂いた方を含め万余の市民に法律家としてのアピールが届いたものと、その成果を素直に喜んでいます。
80才に手の届くこの私が、実行委員長をお引き受けしたのには、次のような理由によるものです。
二.私にとっての憲法一つは、私が弁護士という仕事に憧れ、職業としてこの道を選んだのは、「世界に誇れる新憲法」とその精神を汲んでつくられた「新・弁護士法」の下で、人権や人の幸せを護る仕事がやりたい−という思いがあったからです。
もう一つは、小学5年生迄の少年期を、あのいまわしい太平洋戦争の下で育ち、空爆による命の恐怖や、食糧不足による「飢え」をしのぎ、心底から「戦争のない世の中」の有難さを感じた「戦争体験」によるものです。
三つ目は、永い間の論争の積み重ねによって到達し、しかも30数年もの間、歴代政府が一貫して堅持して来た「集団的自衛権の行使は現憲法の下では憲法違反である」という「公式見解」を、閣議決定という安易な手法で、いとも簡易にひっくり返す今の政治の危うさに慄然とし、既に作業が始められている関連法案を、議会を通る前にどうしてもくい止めねば−そんな強い危機感を覚えたからです。法律専門家として、率先してこの立法作業に今、「マッタ!」をかけることこそが、まさに「弁護士会の使命」だと思ったからです。
三.命がけの反戦演説少し古い話になりますが、日本が太平洋戦争に突入する直前、昭和15年2月の帝国議会で、反戦・反軍部の命懸けの演説をした政治家がいました。斎藤隆夫。彼は、保守政治家であり弁護士であり、エール大学に留学した憲法の研究家でもありました。彼の勇気ある行動は、歴史に残る反戦演説として賞賛され、昭和史上高い評価を受けています。
しかし、残念ながら、彼はこれが原因で議員を除名され、政治生命を失います。そして、政局は軍事化の一途をたどり、やがて戦争の時代に突入。結局のところ、戦争への流れを止めることは出来ませんでした。
この命がけの抵抗も、戦争への流れを止めるには余りにも時が遅すぎたこと、彼が国民大衆と共に闘うことをせず、孤高の戦士に終始したこと、などが教訓として残りました。勇気ある先見性のある立派な政治家がいて、命がけの抵抗をしても、その時期と手法を誤ると「美談」だけに終わってしまう−というのが、歴史家の評価です。
四.黙視していいのか・・・今、平和憲法の危機に直面して、私達は、この教訓を生かさねばなりません。
@ 声をあげるのは遅すぎてはならない。この違憲状態に「異議あり」と叫び市民に訴えるのは、今なのです!
A 弁護士会は、孤高の戦士であってはなりません。広く市民と連携して、一緒に運動を進めなければなりません。
B そのためには、弁護士会が一枚岩となって、小異を捨てて、まずは閣議決定による実質的改憲は、「立憲主義に反する」との大同に立って、一致して行動することが必要です。
弁護士会は、此度の集会・パレードによって、その目標に向かっての一歩を踏み出せたものと信じています。