会報「SOPHIA」 平成26年12月号より


国際委員会企画

大盛況でした!!!

中国進出企業にかかわる法律実務セミナー



国際委員会 委員
野 田 雄 二 朗


日 時 11月14日 13:00〜16:00
場 所 弁護士会館5階ホール
講 師 方 新(ほう しん) 弁護士(中国・上海)
後 援 中華人民共和国駐名古屋総領事館、東海日中貿易センター、
愛知県、名古屋市、あいち産業振興機構、
日本貿易振興機構(ジェトロ)名古屋貿易情報センター

1 中国法セミナー開催

例年通り、11月14日に中国法セミナーが開催された。



2 テーマ等

本年度のテーマは「中国ビジネスにかかわる契約実務」である。同じテーマで過去に中国法セミナーを開催しているものの、事前にテーマを選定する際に多数の委員の賛成により再度決定した。このことからも、中国における契約実務に関する当会委員の高い関心が伺われる。



3 講演「揺れ動く内外情勢とこれからの政局」

まずは中国独自の法源、特に司法解釈(最高人民法院による法令解釈)の実務上の重要性が指摘された。あわせて、対中国においても対欧米企業と同等かそれ以上の注意をもって契約が締結されるべきことが述べられた。


契約締結にあたって注意すべき諸点、すなわち、必ず営業許可証を確認するという基本、信用調査の重要性とその方法、代理権や署名押印の有効性の確認方法などが説明された。特に、中国では印鑑証明制度が存在しないことや、通常は法定代表者が董事長であり、総経理による場合は委任状を確認すべきこと、さらには、当局による審査への便宜を考慮して署名押印を別ページにした場合のすり替えの危険等、実務的な経験に基づく話は大いに参考になるものであった。



4 履行編

履行編では、不明確な条項の解釈基準や、不安の抗弁(中国では明文化済)に足りうる事由を契約書上明確にすること、実際は証拠が重要であること、また書面による通知が必須であることなどが特に注意すべき点であるとされた。



5 解除及び紛争解決編

解除に関しては、合弁契約や持分譲渡契約など、解除に伴って当局の認可等が必要になる類型に対する注意事項、内容証明郵便が不存在であるため、書留郵便・ファクシミリ・電子メールなど複数の方法を活用すべきことなどが述べられた。また契約締結時の予見可能性を問題とする中国法と日本法との違いの説明があった。



6 パネルディスカッション

その後、服部由美会員(昨年上海の法律事務所で短期研修)、中川真吾会員(豊富な渉外法務経験あり)と筆者が登壇の上、日中両言語の契約書内容が一致しない場合の処理、現在の中国の仲裁の実情など、弁護士として特に気になる部分について掘り下げた。



7 質問と座談会

今年度は参加者からの事前質問を受け付けたところ、多数にのぼった。極力セミナーの中や、パネルディスカッションで触れられるようにしたが、個別性の高いものまでは対応できなかった。そこで終了後有志で座談会を行い、セミナーのテーマにかかわらず、方新弁護士と膝を突き合わせて語る座談会を開催した。話題はつきなかったが、和やかな雰囲気でフランクに話ができたようであり、成功であったと思う。


本年度は参加弁護士・企業のみならず、設営側に携わる委員のチームワークも過去最高であった。数年来中国法セミナーの設営に携わった身としては隔世の感があり、今後一層活動を強化したい。