会報「SOPHIA」 平成26年11月号より

愛知から世界へ(14)

IBA(国際法曹協会)東京大会(10月19日〜24日)に参加しました!

『弁護士のオリンピック』と呼ばれるIBA年次大会が東京で開催されることが決定したのは、実は5年以上も前のことです。当時、東京(日本国)とシドニー(オーストラリア国)が立候補し、双方、国を挙げての熾烈な誘致競争が行われましたが、IBAの歴史上、東アジア(中国や韓国等を含む)で初めて開催する意義が高く評価され、2009年3月のIBA定例理事会(ドバイ)にて、東京開催が決定されました。今後50年は日本での開催がないと云われるIBA東京大会。今回は参加した若手会員をご紹介します!




盛大な開会式とレセプション

国際委員会 委員
尾 田 知亜記

IBAの主な活動目的には、各国の弁護士会間の情報交換を推進すること、法曹の独立及び弁護士が干渉されることなく活動する権利を支えること、Human Rights Institute(人権評議会)の活動を通じて人権擁護活動を行うことなどがあります。

さて初日の開会式は、開催場所の東京国際フォーラムの最も大きなホールで、IBA PresidentのMichael J Reynolds氏、天皇皇后両陛下、安倍晋三首相等を迎えて、厳かに行われました。


開会式の会場で各国の参加者と筆者(左から2人目)

 その後のレセプションでは、昨年のIBAプレ大会(会報2013年11月号62頁参照)の際にお会いした各国の法律家と偶然にも再会を果たし、国境を越えた交流の大切さをしみじみと痛感しました。各国の法律家の方々のマシンガントークに圧倒されたところもありましたが、アジア、欧米、アフリカに至るまで、いろいろな国で、様々な分野を専門として活躍する法律家の方々と話しながら、文化の違いを知るおもしろさはもちろん、事件を処理するにあたって悩む点は意外にも共通していることも多く、興味深かったです。






IBA大会に参加するには

国際委員会 委員
   貞  嬉

IBA大会へ参加するためには、大会登録費(一般は最低でも約35万円)が必要ですが、「young lawyer」として約22万円に減額された上、日弁連及び当会の補助を受けたので、登録1年目でありながら参加することができました。当会から日弁連に対して推薦をしていただいた後、補助の関係で日弁連の担当局にメールで申込書を添付送信する方法で大会の参加申し込みをしました。

私は英語が苦手ですが、同時通訳のセッションもあるとのことで参加を決意しました。もっとも、海外からの参加者との交流は英語で会話しなければなりません。

セッションでは、各国の発表者がポイントを絞って話し合うため、要点だけを習得することができます。私が今回学んだことは、国境を越えるから相違点があり、その認識と理解が何より重要であることです。相違点を見つけるためには、その地域の専門家との協力が必要不可欠であり、IBAを通じて形成するネットワークがその手助けとなるでしょう。IBAは、セッションだけでなく、ソーシャルプログラム(主に有料・無料の食事会)も多く、これらに参加することでより親密な人的関係を形成することができたと思います。

東京にて、世界に接することができる良い刺激となった5日間でした。






International Bar Association
(IBA、国際法曹協会)とは?

国際委員会 委員
脇 田 あ や

IBA(国際法曹協会)は、世界各国の弁護士会及び個人の弁護士が加入する、世界最大の国際法曹団体で、2012年時点で45,000名以上の個人会員と、150か国以上にわたる200以上の弁護士会が加盟しています。

IBAが毎年開催する大会は、数千名の法曹関係者が参加し、一週間の開催期間中に開会式、各委員会の分科会、レセプションなどが行われる国際的なイベントです。本年は、東アジアでは初めての都市として、東京で開かれました(昨年はボストン、来年はウィーンでの開催)。セッション等は英語により行われますが、同時通訳のセッションもあります。

私は、アジアにおける紛争解決等に興味があったため、国境を超える紛争の解決や仲裁のホットトピックなどのセッションに参加しました。各分野における最先端の議論に加え、各国の弁護士からみた日本や日本企業についてかなり率直な意見が出ました。また、CSRに関するセッションでは、国によってCSRの捉え方、取り組み方が様々であること、各国の企業の海外進出が増える中、よりいっそうCSRの要請が高まっているということを認識することができました。各セッションにおいて、共通していたのは、他国の文化、情勢を理解しようという姿勢でした。






各国の弁護士、司法に触れることができる良い機会でした

国際委員会 委員
泉   温  子

私も当会及び日弁連から費用補助を受け、「young lawyer」の枠で参加させていただきました。「young lawyer」の枠で参加する条件として、10時間以上のセッションへの参加が義務づけられていました。1セッションは3時間で、1日最大6時間(午前と午後に3時間ずつセッションが行われます)セッションに参加することができますので、丸2日間参加すれば充足することができる条件でした。同時通訳のセッションは毎日開催されており、多いときには1日に8つほどありました。

私は10月19日〜10月22日まで参加し、初めのうちは同時通訳のもののみ参加していましたが、興味のある労働分野のセッションには同時通訳のものがなく、意を決して同時通訳のないものに参加しました。同時通訳がないためか日本人の姿はなく、会場は円卓が7つほど置かれ、討議を要求されるのではないかと不安でした。しかし、労働分野のトピックという前提とスライドに写る英単語から話の概要は予測することができ、十分に理解できたとは言えませんが、全くわからないということはありませんでした。

セッションやソーシャルプログラムで世界各国の弁護士、司法に触れることができ、とても良い機会でした。自分の大きな糧となったと思います。