秘密保護法は「最悪レベル」の法律!?
〜モートン・ハルペリン氏が語る秘密保護法の問題点〜

秘密保護法制対策本部　委員
��　嶌　将　周

５月11日、市民団体の主催でモートン・ハルペリン氏の講演会が行われ、当会はこれに協賛しました。

ハルペリン氏は、元米国政府高官で、ニクソン政権やクリントン政権では国家安全保障会議のメンバーを務めました。また、いわゆる沖縄密約交渉では、キッシンジャー大統領補佐官の腹心というべき立場でした。いわば米国側の秘密を扱ってきた人物なのですが、昨年12月６日に秘密保護法が成立した直後、「21世紀に民主的な政府が検討した法律の中で最悪レベルのものだ」と発言しました。その真意はどこにあるのでしょうか。

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１　国際的にみて、言論の自由の問題は、自由権規約19条にも示されているように、政府が持つ情報に一般市民がどれだけアクセスできるかという問題として考えられるようになっている。

このような国際基準を具現化したものが、昨年６月に採択された「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」（ツワネ原則）である。したがって、日本政府が秘密保護法の制定にあたって、「ツワネ原則を考慮する必要はない」と言ったが、このことは国際基準に照らせば外れている。

２　そのツワネ原則では例えばジャーナリストや民間人を処罰してはならないとされているが、秘密保護法では刑事罰が規定されている。マスコミ除外規定があっても、その規定ぶりは曖昧で、政府の恣意が入りやすく、萎縮効果が大きい。

また、ツワネ原則では内部告発者が恐れることなく情報を公開できるかどうかを重視しているが、秘密保護法では内部告発者の保護も不明確なままである。

３　「民主国家」を標榜するのであれば、秘密法を制定するときには、市民と対話し、時間をかけなければならない。例えば南アフリカの場合、当初は日本よりも悪い秘密法をつくろうとしたが、数年の時間をかけて多くの公聴会を開き、国内外の専門家と話し合って、何回も修正した。最終的な法律は完全なものとはいえないが、日本政府が市民の意見を聞かなかったことに比べれば、よほど民主的だ。

４　日本政府は「このような法律がなければ、外国から情報を得られない」と言って秘密保護法を制定したが、この説明は間違っている。私は1960年から米国政府の中にいて日米関係の問題に関わってきたが、日本に秘密保護法がないからという理由で、情報提供をしなかったことはない。最近でもブッシュ政権時代に日本政府と核戦略に関する情報を共有しようということになり、最終的にオバマ政権下でアジアで米国が核政策を実行するために必要だとして、情報の共有化が進められた。

５　開かれた政府の情報交換の場として、2011年に「オープン・ガバメント・パートナーシップ（ＯＧＰ）」が発足し、今では多くの民主主義国家が参加している。残念ながら、日本は参加していない。ＯＧＰでは、各国の市民が置かれている状況（市民の自由度）をチェックする。ＯＧＰに加われば、政府は市民の自由度がどのように評価されるかを気にせざるをえなくなる。日本政府がＯＧＰに加わるように働きかけてもらいたい。

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　 　ご自身の経験や実例も交えた非常に説得力のある講演で、秘密保護法が「最悪レベル」の法律であるという意味を理解することができました。

秘密保護法、やはり廃止を求めるほかありません。