会報「SOPHIA」 平成26年4月号より

愛知から世界へ(7)
JICA専門家としてベトナムに赴任しています


国際委員会 委員 塚 原 正 典

私は、今、独立行政法人国際協力機構(JICA)長期専門家としてベトナムの首都ハノイに赴任しております。今年3月25日の着任から、本稿作成時において、ちょうど1か月が経過したところです。


【応募の経緯】

JICAのベトナム長期専門家募集を私が知ったのが昨年12月中旬、応募書類を送ったのが今年1月6日、書類選考通過のメールを日弁連からいただいたのが1月10日、論文試験と面接を受けたのが1月22日、内定のご連絡をいただいたのが同日の夜でした。これ以降現在まで激動の日々?が続いています。

応募のきっかけは、昨年3月に当委員会が主催したベトナム視察旅行への参加に遡ります。その旅行では、ベトナム最高人民裁判所等に加えて、ハノイ法科大学内の名古屋大学日本法教育研究センターを訪問しました。そこで日本語で日本法を学ぶベトナム人学生たちの高い向学心に私は驚愕しました。このとき急速に発展しつつあるこの国で仕事がしてみたいと思うようになったのです。

帰国後、当委員会に入会後も、アジア各国からの留学生向けの日本語講義に携わること等を通じて思いを温めていたところ、本件の募集を目にして応募を決意しました。

内定後は、継続中の仕事や顧問先、事務員さんの雇用の引き継ぎを先輩、同期、後輩の会員にお願いして、事務所を円満にたたむことに忙殺されました。JICAの事前研修を2週間受ける必要もありましたので、弁護士一人の零細事務所とはいえ、内定から2か月以内に事務所を閉じることはかなり時間的に苦しかったです。それでも何とか間に合ったのは、ご協力をいただいた皆様のおかげです。本当に感謝しております。


【JICA専門家としての業務】

現在の業務の概要は、法律等の制定や改正、実際の運用等につき助言をするものです。司法省、最高人民裁判所、最高人民検察院、弁護士連合会というベトナム側機関に対して、JICA側は松本剛専門家(検察官出身)、古庄順専門家(裁判官出身)、寺本二憲専門家(業務調整員)と私及びベトナム人スタッフ5人で対応しています。個別の事件解決ではなく、大きな制度や枠組みを作ることに関与する仕事ですので、これまでの仕事と性質に違いはありますが、当会の名を汚すことなきよう、しっかりと業務に励んでいきたいと思っております。



ハイフォン市トゥイグェン県の裁判所にて。
ハイフォン市トゥイグェン県の裁判所にて。
右から古庄専門家、ハイフォン市人民検察院カイン部長、松本専門家、トゥイグェン県人民検察院サン長官、筆者