会報「SOPHIA」 平成26年2月号より

犯罪被害者支援連載シリーズ53
ストーカー規制法、DV防止法が改正されました


犯罪被害者支援委員会 委員 大 塚 徳 人

1 ストーカー行為等の規制等に関する法律(ストーカー規制法)が、平成25年に改正・施行されました。

(1)ストーカー規制法の概要

ストーカー規制法は、「特定の者に対する恋愛感情その他の好意感情又はそれが満たされなかったことに対する怨恨の感情を充足する目的」で、当該特定の者等に対し、同法2条1項各号に掲げる行為をすることを「つきまとい等」として規制し、つきまとい等を反復して行うことを「ストーカー行為」として規制しています(2条2項)。  同法では、警察本部長等は、「つきまとい等」の被害者の申出により、違反行為者に警告をすることができること(4条)、違反行為者が警告を無視し違反行為が続く場合、公安委員会が聴聞を経て禁止命令等をすることができること(5条)、違反行為者が禁止命令に違反した場合の刑事罰等が定められています(15条)。また、「ストーカー行為」自体についても、刑事罰が定められています(14条)。  今回の改正のポイントは以下のとおりです。

(2) 電子メールを送信する行為の規制

新たに規制されることとなったのは、拒まれたにもかかわらず連続して電子メールを送信する行為です(2条1項5号)。ここにいう電子メールには、携帯電話番号を利用する通信(SMS)は含まれますが、昨今流行の「Facebook」や「mixi」、「LINE」などを利用した通信は含まれないと考えられますので注意が必要です。

(3) 警告に係る通知並びに禁止命令等に係る申出及び通知が規定されたこと

警察本部長等は、被害者から「つきまとい等」に係る警告を求める申出を受けた場合、申出者に対し、警告をしたときには当該警告の内容・日時を通知し(4条3項)、警告をしなかったときにはその旨・理由を書面で通知することとなりました(同4項)。

また、公安委員会は、警告の申出をした被害者の申出によっても、禁止命令等をすることができ、禁止命令等をしたときにはその内容・日時を通知し(5条4項)、禁止命令等をしなかったときにはその旨・理由を書面で通知することとなりました(同5項)。

(4) 禁止命令等をすることができる公安委員会等の拡大

禁止命令等をすることができる公安委員会が、申出者の住所地に加えて、違反行為者の住所等の所在地、つきまとい等が行われた地又は被害者の居所の所在地を管轄する公安委員会にも拡大されました(10条1項)。

警告等をすることができる警察本部長等についても、同様に拡大されました(同2項)。

(5) その他

被害者保護のために、婦人相談所等の施設による支援が明記されました(8条)。



2 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律(DV防止法)が改正され、平成26年1月から施行されました。

DV防止法は、配偶者関係(事実婚を含む)にある者からの暴力及びその被害者を対象とし、命令違反に刑罰が科される保護命令の制度等によって被害者保護が図られています。

改正により、従来同法の適用外であった生活の本拠を共にする交際相手からの暴力及びその被害者について、同法が準用されることとなりました(DV防止法28条の2)。