会報「SOPHIA」 平成26年2月号より

いじめ防止出張授業


子どもの権利委員会 委員 兼 子 千 佳

1 はじめに

1月30日、県内の中学校において、当委員会の委員によるいじめ防止出張授業が行われました。

今回は、中学1年生の4クラスを対象に、当会会員4名が各クラスでそれぞれ授業を行いました。

2 授業までの準備

当委員会では、いじめの予防対策が必要であるとの問題意識から、委員会内でいじめ防止出張授業のプロジェクトチームを作っています。今回のいじめ防止出張授業は、プロジェクトチーム内で、既に第二東京弁護士会等で行われている授業案を参考にしながら、独自の授業案を作成しました。

また、クラス内でのいじめの有無、クラスの雰囲気、生徒同士の関係などを把握する目的で、学校の教員とも事前に打ち合わせをしました。

3 授業の内容

授業内容は、簡単に人権の話をした上で、生徒達に「いじめられる側も悪いのか」という問いを投げかけるところからはじめました。○(悪い)・×(悪くない)・△(場合によっては悪い)という選択肢を提示すると、ほとんどの生徒が△を選びました。

授業の中では、いじめによる自殺をした生徒の事案を話し、具体的な事案にふれながら、いじめが人の命も奪いかねない行為であることを説明し、どんな場合でもいじめは許されないのだということを伝えました。さらに、いじめた側も心の傷を負うのだということを話し、いじめている生徒のことも大事だからいじめをやめなければいけないというメッセージを伝えました。また、いじめに直接は関わっていない人が何をできるのかということについて、ドラえもんを題材に、ジャイアンのいじめを止めるためにしずかちゃんに何ができるのだろうかという視点で考えました。生徒達からは「先生に言う」「のびたと話をする」などの発言がありました。

最後には、いじめている人、いじめられている人、いじめを見ている人それぞれに宛てたメッセージを全員に配布しました。

授業後には、教員と意見交換を行いました。教員からは、普段教員もいじめは絶対にいけないということを伝えているが、最初の問いで△を選んだ生徒が大半であったことへの驚きや、寝ている生徒が全くおらず生徒の関心を強く惹いていたという感想が出されました。また、反省点として、授業中に生徒たちに考えさせる時間をもっと持たせた方がいいのではないか、といった意見も出されました。

生徒達からは、「いじめられている人も悪いときがある、と思っていましたが、いくらその人が悪くてもいじめという手段を選んではいけないと思いました」「いじめた人も傷つく、という言葉が一番印象に残った」「いじめを見ている人も誰かに相談しないといけないと思いました」など多くの感想が寄せられました。

4 おわりに

今回のいじめ防止出張授業は、当委員会としては初めての試みでしたが、好意的な感想が多く、大変有意義なものになりました。今回の経験を生かして、今後も積極的に行っていきたいと思います。