会報「SOPHIA」 平成25年12月号より

国際委員会企画
韓国光州地方弁護士会訪問報告


国際委員会 委員長
小 川 晶 露

1.光州広域市の訪問

国際委員会では、11月14日から同16日まで、大韓民国(以下「韓国」)光州地方弁護士会(以下「光州弁護士会」)を訪問しました。

光州広域市は朝鮮半島の南西部、全羅南道に八方を囲まれる形で位置しており、人口約147万人の経済・行政・文化の中心都市として湖南地方の中心の役目を果たしています。昔から光の町、光の都市と呼ばれると共に、光州学生事件、光州事件に象徴される「民主と人権を象徴する都市」として知られています。


2 空港での歓待とレセプション(晩餐会)

平成20年に光州弁護士会が当会を訪問してから、毎年、訪韓と来日を交互に繰り返しており、今回は当会から、平井和宏副会長を団長として合計6名が訪韓しました。

光州空港に降りたつと、今回も例外なく、当会を歓迎する横断幕を携えて、たくさんの光州弁護士会の皆様が出迎えて下さいました。

その後は、光州広域市内の韓国料理店に案内され、当会の来訪を歓迎するレセプション(晩餐会)が開催されましたが、光州弁護士会の現会長である文正鉉(ムン・ジョンヒョン)弁護士、前会長(現在は大韓弁護士協会の副会長)である姜幸玉(カン・ヘンオク)弁護士の外、歴代の会長経験者も含め20名近くの光州弁護士会員の方々が参席され盛大に歓迎して下さったほか、当会との記念品の交換等も行いました。


3.韓日弁護士間による共同セミナー

翌日(同15日)午前には、光州弁護士会館内において、「保証人の保護、連帯保証制度の廃止」をテーマに共同セミナーが開催されました。

光州弁護士会側からは、最近まで銀行にお勤めで金融制度に精通する林正勲(イム・ジョンフン)弁護士から、韓国の保証制度の現状と保証人保護のための特別法の紹介がありました。

その中で、特別法とは別に、金融委員会主導により、都市銀行を中心とする第一金融圏では、個人事業者融資の連帯保証を原則的に廃止し、法人融資も経営者一人に範囲を限定することが決定され実施されたこと、相互金融・クレジット会社・保険会社等に区分される第二金融圏でも、個人融資の連帯保証を原則的に廃止し、法人融資でも持株比率30%以上の大株主等のうち1人に保証人範囲を限定する等の決定がされ実施に移されたとの説明がありました。

他方、当会側からは、長年、多重債務や消費者問題等に携わってきた平井宏和副会長から、日本における金融実務の現状と現在進行中の法制審議会の審議経過についての報告があり、日本でも中小企業庁通達や閣議決定等で第三者保証の制限や個人保証制度の見直しの方針が進められてきたこと、法制審議会による平成25年3月11日付民法改正中間試案等の公表内容が発表されました。


4.最後に

他国の法制度を研究することは自国の法制度をより客観的に知る貴重な経験となります。多重債務・消費者保護という観点からは、連帯保証の原則廃止を既に打ち出した韓国の法制度の方が、日本よりも一歩を先に進んでおり、大変、学ぶことが多い訪韓になりました。

最後に、今回の訪韓のアレンジと現地通訳をお引き受け下さいました柘植直也会員、共同セミナーにてご発表下さいました林正勲(イム・ジョンフン)弁護士と当会の平井宏和副会長、同セミナーにて素晴しい通訳をされた全南大学校法学専門大学院の鄭鍾休(チョン・ジョンヒュ)教授、その外、当会訪問団を歓迎して下さった多くの光州地方弁護士会の皆様には、謹んで感謝申し上げます。