会報「SOPHIA」 平成25年11月号より

美白化粧品白斑被害110番開催される


消費者委員会 委員
徳 田 万里子

第1 110番実施の経緯

 7月4日、株式会社カネボウ化粧品、株式会社リサージ、株式会社エキップは、その製造販売する化粧品のうち、「医薬部外品有効成分ロドデノール(カネボウ化粧品が独自に開発した医薬部外品有効成分で、特許が取得されているもの)」が配合された製品使用者に、白斑被害(皮膚の色が白く抜ける状態)が確認されたとして、同配合製品の自主回収を発表しました。

 被害者の数は、カネボウ化粧品の発表によると11月11日現在で16,000人以上とされています。

 カネボウ化粧品は、自主回収が開始されて以降、被害者に対し個別訪問を行ったうえで、個々の被害者に適切な補償をすると発表していますが、既に大阪や東北等他地域で行われた110番では、被害者から、カネボウ化粧品の発表と実際の対応が異なるといった声や、カネボウ化粧品が示す賠償基準が不明確で不安であるといった声が寄せられていました。

 そこで、この地域でも被害実態の把握と被害者救済を行う必要があることから、11月20日午前10時〜午後4時まで、当委員会の主催で同110番を実施しました。


第2 110番当日

 当日の相談は、当委員会の委員及び「消費者被害に関する法律相談」相談員の中から応募があった合計32名の当会会員が担当しました。

 当会会館内の相談室2室に合計4台の専用電話を設置し、相談の受付けを開始しましたが、平日であるにもかかわらず、開始時間早々から、4台の電話がほぼ同時に鳴り始め、当地域においても被害が広く発生していることがうかがい知れました。

 110番には、合計33件の電話相談が寄せられましたが、平日開催であったことや、相談日が1日限りであったことから、潜在的にはまだまだ多くの被害相談があるものと思われます。


第3 寄せられた相談の概要

 相談の内容ですが、相談者の中には顔全体に広がる白斑の影響で仕事を辞めざるを得なくなったという深刻な被害を訴える方が複数いたほか、カネボウ化粧品から訪問するという連絡があったが実際の訪問がない、治療費・通院交通費以外の慰謝料などの話をすると、「早く治ることを祈っています」と曖昧なことしか言わない等、製造会社の対応に不信感を訴える方も多くいました。

 さらに、今後どのような形でどのような法的救済を求めていくべきかについて、専門的知見から詳細な説明を受けたいとの要望も多く聞かれました。


第4 今後の対応

 今回の110番で寄せられた被害者の生の声を受け、この地域にも多く存在するであろう被害者を法的に救済する必要性が明らかになりました。

 そこで、今後、12月21日(土)に当会会館において被害者説明会(13時受付、13時30分説明会開始)を行ったのち、当会会員有志を中心とした弁護団を立ち上げ、大阪、東京をはじめとした各地弁護団と連携をしながら、被害者救済に向けた具体的対応を行っていく予定です。