会報「SOPHIA」 平成25年11月号より

支部だより
第2回 市民公開講座
「大人は子どものいじめを解っているのか」開催される!!


西三河支部子どもの権利委員会 委員
米 田 聖 志

1 はじめに

 9月28日、当会西三河支部会館にて、西三河支部子どもの権利委員会主催の第2回市民公開講座が開催されました。近年、大津の事件等もあり、携帯電話やインターネット等子ども達を取り巻く環境は激しく変化していることから、「大人は子どものいじめを解っているのか」というテーマを取り上げました。

2 第1部(講演)

 第1部では、講師として、1994年にいじめによってご子息(清輝君)を亡くされた経験をお持ちの大河内祥晴さんをお招きしました。

 大河内さんは、当時清輝君に何があったのか、いじめはどうすれば無くなるのか等についてお話をされました。大河内さんは、現在も無くならない「いじめ」について、「子ども自身がどこまでがいじめか解っていないことが問題」であり、「今後いじめをなくす機会をみんなで作っていくことが必要」と述べられました。出席者からは「聞いていて涙が止まりませんでした」、「思い出すのも辛い様な体験のお話を聞かせて頂いて感謝の気持ちで一杯です」等の感想が寄せられました。

3 第2部(パネルディスカッション)

 第2部では、大河内さんに加え、岡崎市教育委員会の加藤有悟氏、高浜中学校教諭の倉地伸幸氏、多田元会員をパネリストとして迎え、神谷明文会員をコーディネーターとしてパネルディスカッションが行われました。ここでは、@「いじめの構造」の変質、Aいじめの発見、Bいじめが疑われる場合の対応、Cいじめ問題根絶へ向けてというテーマで熱い議論がなされました。

 各テーマについて、親、先生、教育委員会(行政)、弁護士の各立場からお話し頂きました。現場では、挨拶運動(子どもの表情を見る)や定期的な無記名アンケート、部活動での情報収集等、先生達が真剣にいじめ問題に対処しようと努力していることが報告され、他方、学校だけじゃないと「視野を広げてあげる」(不登校という選択肢)という多田会員の話もありました。参加者からは「大人達は、『自分の力で解決しなくてはいけない』と考える子どもと面倒くさがらずに向き合う事を忘れてはいけないと強く思った」等の意見が寄せられました。

4 最後に

 「いじめによって辛い思いをする子どもが1人でもいなくなって欲しい」、そう願ってやみませんが、第2部でコーディネーターを務めた神谷会員が紹介してくれた「いじめで誰かが死ぬ前に」という本(平尾潔弁護士著)の中にそのヒントを見た気がします。

 いじめっ子の「ジャイアン」、いじめられっ子の「のび太」、はやし立てる「スネ夫」、見ているだけの「しずかちゃん」、「この中の誰が頑張ればのび太へのいじめはなくなるだろう?」。ジャイアンやスネ夫はいじめをやめないし、のび太が自力でいじめと戦うのも難しい…。本は、いじめを止められる力があるのは「しずかちゃん」(傍観者)と指摘します。

 しずかちゃん(傍観者)はまずジャイアン達に「のび太さんをいじめてはダメ」と毅然と言うこと、もしその勇気が無ければ「私はのび太さんの友達よ」とそっと声をかけてあげること、「傍観者」こそいじめを止められる大きな力があり、「止める」だけでなく「支える」方法もあること、これらのことをこの講座を通じて実感することができました〔実際に西尾市では「ハートコンタクト」という組織を生徒(傍観者)達が作り、いじめをなくす活動をしているそうです〕。