「人生にとっては、 万引きも『害』じゃないですか」
ティーン・コート(子ども裁判所)
法教育委員会 委員
南阪本 浩 章
- 1 威厳の漂う舞台
-
今年のサマースクールは、弁護士会館の改修工事の関係で、市政資料館で行われました。
市政資料館は、昭和54年まで裁判所として使われていた建物で、レンガ造りの建物には何ともいえない威厳が漂っています。
- 2 今年の事案
-
今年のティーン・コートで扱った事案は、少年が友達を誘って一緒に万引きをしたところ、店員に見つかり、逃げる際にその店員にケガを負わせてしまったというものでした。
参加した中高生は、それぞれ裁判官役・検察官役・弁護人役になりきって、尋問や論告・弁論、そして処分の告知などを行います。事前に、各チームごとで尋問すべき点を詰めているときの議論は真剣そのものでした。
- 3 インパクトある尋問
-
参加者からの尋問は、どれも一生懸命に考えられたものばかりでした。その中でも、少年が万引き以外に喫煙もしていたという話題になり、少年が「喫煙は、健康に害があるので友達は誘わなかった」と答えたのに対して、検察官役の学生が「人生にとっては、万引きも『害』じゃないですか」と詰め寄った場面では、私自身、心の中で「すごい!」と感心しました。
- 4 注目の処分結果
-
論告・弁論を経て、裁判官チームが評議により出した結論は、少年と親を裁判所に呼んできちんと話をさせること、第三者を交えて今後のことを話し合うことなど、少年のことを考えた中高生ならではの処分内容となりました。
- 5 おわりに
-
ティーン・コートは、今年も大成功のうちに幕を閉じました。私自身も大変勉強させていただきました。来年以降も多くの中高生が参加してくれることを期待しています。