会報「SOPHIA」 平成25年7月号より

憲法第96条改正反対街宣行動を行いました


憲法問題委員会 委員
井 上 健 人

 

1 はじめに

7月3日、名古屋駅前において、憲法問題委員会委員を中心として、憲法96条改正反対の街宣行動を行いました。今にも雨が降り出しそうな天気であったにもかかわらず、当委員会委員のみならず、多くの会員にご参加いただくことができました。ここでは、街宣行動のご報告をいたします。

2 街宣行動の意義

すでにご承知のとおり、昨年12月の総選挙で憲法改正発議要件の緩和を主張する自民党、日本維新の会、みんなの党が、衆議院における憲法改正の発議要件である総議員の3分の2以上を占め、今年に入り安倍首相が憲法96条の改正に取り組むことを明言する(1月30日衆議院本会議での答弁)など、憲法96条改正の動きが本格化する中、日弁連をはじめ、各単位会は憲法96条改正に反対する意見書を出し、当会でも、5月29日、憲法96条の発議要件緩和に反対する決議を採択しました。今回の街宣行動は、こうした憲法96条改正の動きが本格化する状況下で、当会として、明確にこれに否を唱える姿勢を市民の方々に伝えるという意義の下、行われました。


3 当日の状況

当日の街宣行動は、午後5時から1時間ほど、名古屋駅南のナナちゃん人形前で行われました。長谷川一裕当委員会副委員長がハンドマイクで宣伝し、平井宏和副会長を始めとした会員が、当委員会委員によって作成された決議文のチラシを通行人の方々に配りました。憲法は、市民の方々にとって馴染みのある問題であるか、私自身、心許なく感じるところがあったため、どれほどの方がチラシを受け取ってくださるのか、街宣行動の前は多少心配していましたが、思っていたよりも多くの方がチラシを受け取って下さいました。憲法96条の問題は新聞等のマスメディアでもかなり取り上げられているからでしょうか、スーツを着たサラリーマンの方々が比較的多く受け取ってくださったのには驚きました。国家権力に歯止めをかける役目の憲法について、その改正要件の緩和を時の権力者の側に推し進められることは、やはり理屈として奇異であることを、多くの市民の方々が感じているのではないかと、街宣行動を通して思いました。


4 おわりに

7月21日に行われた参院選における自民党の圧勝により、改憲勢力が参議院の3分の2を超えることもあり得る状況となりました。上述のように、衆議院では改憲勢力がすでに3分の2を超える議席を得ているため、国会は、憲法改正の発議要件を満たしうる状況となっています。

昨年4月に発表された自民党の改憲草案は、国家権力に対する命令という、立憲主義的憲法の本質を覆す内容となっており、安倍首相は、改憲によって立憲主義からの離脱を考えているように思われます。憲法改正発議要件の緩和は、そうした立憲主義からの離脱の第一歩と位置づけ得るものです。

こうした状況下において、当委員会としては、会員のみなさまのご協力を仰ぎ、これまで以上に、憲法改正発議要件の緩和の動きに対して、反対の声を上げていきます。