会報「SOPHIA」 平成25年4月号より

「原発をめぐる放射性廃棄物」についての勉強会

公害対策・環境保全委員会 委 員  藤 川 誠 二

 原発には様々な問題が指摘されているが、その中でも「トイレのないマンション」と呼ばれるように、原発の稼働に伴う使用済み核燃料の処理問題は、いまだ処理方針すら決まっておらず、深刻である。 本勉強会では、このような原発をめぐる放射性廃棄物の問題についてご講義いただいた。

1 放射性廃棄物はなぜ危険なのか

 「放射線」とは、放射性元素の崩壊に伴って放出される粒子線または電磁波のことで、主にα線、β線、γ線の3種類をいう。 α線とβ線は粒子線であり、γ線は非常に波長の短い電磁波で、これはX線と同類である。「放射性物質」とは、これら放射線を放出する放射性元素を含む物質の総称である。
 放射線には、物質を透過する力があり(γ≫β>α)、身体中では遺伝子や細胞を構成する分子を電離破壊する能力があるため(α≫β>γ)、遺伝子等を傷つけてしまう。 その結果、細胞のガン化を引き起こしたりする。高レベル放射性廃棄物(後述)ともなれば、処理したものであっても、1mも近づけば6割の人が致命傷を負うほどの放射線を出し続けるとのことである。
 やっかいなことに、このような放射性廃棄物を無害化することは、現実的には不可能である。そのため、物質によっては何万年という半減期に従って、放射能が減衰するまで安定的に管理・保管するしかない。

2 放射性廃棄物の処理・処分

 原発が稼働すれば、放射性廃棄物が発生する。放射性廃棄物は、放射能の濃度により、「高レベル」と「低レベル」に分けられる。
 低レベル放射性廃棄物は、放射能に汚染された液体廃棄物や布や紙などであるが、その処理方法は、凝縮・焼却により減容した後、セメントなどで固めてドラム缶に固定する。 固定された低レベル放射性廃棄物は、青森県六ヶ所村にある低レベル放射性廃棄物埋設センターで埋設処分することになる。
 高レベル放射性廃棄物の処理方法は、使用済み核燃料から再使用できるウラン235などを回収した後の廃液を濃縮してガラスと混ぜ合わせ、ステンレス製の容器に固化する。 その後、30〜50年程度冷却のため管理・保管し、最終的には地下深い地層中に埋設処分する計画となっている。 しかしながら、高レベル放射性廃棄物については、六ヶ所村の施設も一時貯蔵施設に過ぎず、いまだ最終処分地の選定作業すら進んでいないのが現状である。

3 管理・保管の現状

 日本における低レベル放射性廃棄物の貯蔵量は、2007年3月時点で、200のドラム缶に換算して約110万本に達する。 高レベル放射性廃棄物の貯蔵量は、2009年時点で、ガラス固化体に換算して2万3000本を超えると推計されている。
 原発1基を1年間稼働させると、高レベル放射性廃棄物についていえば、約30本ものガラス固化体が発生するという。

4 放射性廃棄物をどうしていくべきか

 放射性廃棄物は、原発を稼働させ続ける限り発生し続ける。しかしながら、高レベル放射性廃棄物の最終処分地の目途が立っていないばかりでなく、地震多発国である日本では、最終処分場(地層処分)に適した場所はないのではないかと指摘されている。  海外でも、フィンランドで高レベル放射性廃棄物処分場(地層処分)の建設が進められている程度で(ただし、フィンランドには原発は2カ所しかない。)、最終処分場の問題は世界共通の課題となっている。