シンポジウム 「どうする 浜岡原発」
〜東日本大震災の教訓から浜岡原発を考える〜開催される
公害対策・環境保全委員会 委員
向 井 小百合
東日本大震災を受け、中部電力浜岡原子力発電所が停止しています。これから浜岡原発をどうするのかについて、12月8日、シンポジウム「どうする 浜岡原発〜東日本大震災の教訓から浜岡原発を考える〜」(中部弁護士会連合会、三重弁護士会・岐阜県弁護士会との共催)を、ウインクあいち小ホールにて開催しました。
<第1部〜基調発言>
まず、伊神喜弘委員から主催者からの問題提起を行い、引き続き、各パネリストの基調発言がありました。
NPO法人APAST事務局長の渡辺敦雄氏(浜岡原発の基本設計にも携わった元技術者です)は、福島第一原発の事故は他の原発でも起こりうる問題であること、浜岡原発の特殊性として、原子炉格納容器のうち圧力抑制プールが破壊される可能性が高いこと、プレート境界のほぼ真上に立地していることを指摘されました。また、廃炉とする場合でも、廃炉達成までの雇用量は大きいと指摘され、これまで国策として交付金と引き換えに原発を建設してきた以上、廃炉の場合も同様に国がきちんと対処すべきであると発言されました。
浜岡原発も含め数多くの原発差止訴訟を手がける、青木秀樹弁護士(第二東京弁護士会所属)は、訴訟の経過や裁判上の問題点について発言されました。
牧之原市長の西原茂樹氏(牧之原市は市長・市議会とも浜岡原発の永久停止を求めています)は、まず浜岡原発に隣接する自治体として、牧之原市と浜岡原発の関係(市の産業や市の財政に占める交付金の割合、市民意識調査の結果等)について説明され、続いて、市民意識調査や「男女協働サロン」といった市民参加の取組みにより市民とともに原発を考える市政を紹介されました。
<第2部〜パネルディスカッション>
基調発言をふまえ、会場からの質問を中心に、藤川誠二委員がコーディネーターをつとめ、パネルディスカッションが行われました。
青木氏は、原発差止訴訟の現状について、福島原発事故以降、裁判所の対応に変化がみられるとの印象を持っているとのことで、判決も含め今後の訴訟の進展に注目したいところです。
渡辺氏からは、原発を設計した当時は構造解析を信じており安全だと思っていたが、構造の複雑さが地震に対して弱点となっているとの発言がありました。
西原氏は、現状のまま漫然と浜岡原発を再稼働させてしまうこととなれば、市内に工場を持つ企業が、地震や津波により福島のような被害が生じることを恐れて、市外に移転してしまい、牧之原市にとって大打撃となると指摘されました。
パネリスト3名とも、「絶対安全」なら稼働していいのだろうが、「絶対安全」はありえないので再稼働反対、というご見解でした。
<藤川委員 渡辺氏 青木氏 西原氏>
<シンポジウムを終えて>
来場者103名に対するアンケート結果でも、浜岡原発について「即時廃炉とすべき」との意見が圧倒的であり、「再稼働すべき」との意見はありませんでした。新政権誕生により原発をどうするのか、まだまだ混迷が予想されます。当委員会としては、今後も引き続き原発問題に注目した取組みを続ける予定です。