会報「SOPHIA」 平成24年12月号より

宗教・宗教まがい被害110番を実施しました

 

消費者委員会 委員
竹之内 智 哉


1 110番の実施
 11月30日午前10時から午後4時まで、宗教・宗教まがい被害110番が実施されました。

2 実施にあたって
 平成初期に九州で多くの被害者を発生させたエセ宗教団体がありました。この団体は、存在そのものが明らかでない「手かざし」の効果によって、雲を消したり、ジュースやお酒の味を変えることができる、病気を治すことができるなどと言って被害者から多額の金員を騙し取っていました。この団体の勧誘活動は、福岡地裁などで違法と判断されました。
 今回、この団体の幹部だった者が株式会社を設立し、同様に、「手かざし」の効果によって雲を消したり、ジュースやお酒の味を変えることができる、病気を治すことができるなどと言って被害者に多額の金員を支払わせているとの情報が寄せられました。中身はまったく同じであり、外見だけ変えたものだと思われます。
 問題なのは、この会社は東三河に支部をもっており、この支部の責任者が熱心に信者を勧誘していることから、三河地方を中心に多くの被害者が発生していることでした。そのため、今回110番を実施することになりました。

3 110番の結果
 合計13件の相談が寄せられました。
 110番の名称を「宗教・宗教まがい」としたことから、実施のきっかけとなった問題の会社の相談だけでなく、他の団体の被害の相談もありました。
 問題の会社の相談は3件でしたが、被害者自身の相談、被害者家族からの相談がありました。
 典型的な被害としては、金融機関や友人からお金を借りて会社に支払うという金銭的被害が想定されましたが、それだけではありませんでした。被害者は、家族や友人を勧誘することが良いことだと思い込んでいますので、勧誘された家族との関係、そして友人との関係が壊れる等の被害にあっていることがわかりました。
 さらに、被害者自身も友人等を誘ってしまったことに負い目を感じているなど心の傷を負っていました。

4 今後について
 被害者を救済するため、被害対策弁護団が結成されました。
 そして、110番の実施後、問題の会社による被害に関する記事が新聞に掲載されたことから、多くの被害に関する相談が弁護団に寄せられています。
 今後の活動としては、被害者らが問題の会社に支払った金員の返還を求めるとともに、東海地方にどのくらいの被害が発生しているのか把握することを考えています。
 また、今回の110番には他の団体の被害の相談も寄せられています。相談の内容は深刻なものがあり、これらの被害についても救済していくことを検討しています。