全国一斉暮らしとこころの相談会開催される
貧困問題・多重債務対策本部 本部長代行
柘 植 直 也
- 1 はじめに
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9月11日(火)午前10時から午後6時まで当会会館において、面談及び電話で「暮らしとこころの相談会」が実施された。わが国においては、ここ14年間、毎年3万人を超える自殺者が出ており、その原因として、負債や雇用、家族等の問題が大きく影響していること等から、弁護士会にゲートキーパーとしての役割が求められている。そこで、日弁連の呼び掛けにより、自殺予防週間である9月10日からの週に上記相談会が実施されたものである。日弁連の呼び掛けとしては昨年3月に続いて2度目であるが、当会としては初めての実施である。全国の単位会では、43単位会・41箇所で同週間を中心に実施された。
当会においては初めての実施であったため、慎重に準備を重ね、本年2月29日及び8月22日の2度にわたって専門家の講師によるロールプレイ等を交えた勉強会を実施した。そして、相談会当日には、アドバイザーとして臨床心理士の方、精神保健福祉士の方に同席して頂いた。相談員としては、21名の会員が参加した。
- 2 相談実施状況
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当会として初めての企画であったことから、新聞、テレビ、ラジオ等マスコミの注目も集め、事前にこれらのマスコミに多く取り上げられた。その影響からか、午前10時の相談開始と同時に電話が鳴り止まない状況となり、極めて多数の電話相談が寄せられた。また、面談相談については事前の予約制としていたが、前日までに相談枠はほぼ満杯の状態であった。結局、相談件数は、面談相談が11件、電話相談が58件の合計69件であった。
相談内容としては、賃金未払・解雇等労働問題に関する相談が23件と最も多く、生活保護等生活困窮の問題が6件、本人や家族の借金又は保証債務の問題が6件、離婚等家族関係に関する問題が5件、親族や知人等への金銭の貸し借りの問題が5件、健康問題や医療問題に関する相談が5件、職場内でのいやがらせ等の問題が2件、投資被害等消費者被害に関するものが2件等、生活全般に関する多様な相談が寄せられた。生活保護に関する相談の中には、引きこもりで働けない状態の中で生活保護が打ち切られたというものや、社会福祉事務所の職員の対応が横柄で役所その他の機関に対する恐怖症に陥っているという深刻な内容のものもあった。また、本人や家族の負債等のケースでは、相当に精神的に追い込まれているようなケースもあった。さらに通院しても病気が改善せず、家族にも分かってもらえないと深刻に悩んでいるケースも見受けられた。
- 3 感想等
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相談全体としては、自死念慮等に関するものは多くなかったが、深刻な悩みを含むものは少なくなかった。暮らしやこころの問題に弁護士としてどのように関わっていけるのか、今回の相談会を機会にさらに検討を重ね、臨床心理士や精神保健福祉士等専門家の方々と協力体制を築きながら引き続き取り組んでいきたいと思う。今回相談員として参加して下さった会員の皆様、そして、お忙しい中ご協力頂いた臨床心理士の方、精神保健福祉士の方には、この場を借りて深く御礼申し上げたい。