会報「SOPHIA」 平成24年7月号より

支部だより

第1回市民公開講座開催!!

「発達障害をもつ子どもとの向き合い方〜地域社会で子どもを支える〜」

 

西三河支部会員
松 山 剛 久


1 はじめに

7月29日、当会西三河支部新会館にて、西三河支部子どもの権利委員会主催の第1回市民公開講座が開催されました。近年「発達障害」をもつ子どもと接することが増えているにもかかわらず、その実態を私達はほとんど知りません。そこで、市民の関心も高いのではないかと「発達障害」をテーマとして取り上げました。当日は、多数の市民が支部会館に押し寄せ、定員100名の会場が市民で埋め尽くされ、大盛況でした。

2 第1部(講演)

第1部では、武庫川女子大学の石川道子教授をお招きしました。同教授は、名古屋市立大学病院小児科を中心に発達障害の診療に携わり、平成5年から12年間、名古屋市西部地域センター所長として、特別支援教育、地域療育に尽力されました。

講演は、「発達障害の世界を理解する」と題したパワーポイントを用い、幼児期、学童期の発達障害をもつ子どもの特性を、子どもの目線から分かり易く解説していただきました。発達障害をもつ子どもは「視覚が優位し、はなしことばが苦手である。」「記憶がいい。」「感覚過敏性がある。」「パターンが決まった物事が理解しやすい。」「パニック(情報入力の停止)を起こしやすい。」などの特性があるとのことです。これらが具体的な行動としてどのように現れるのかの説明もあり、上記特性を理解した上で子どもと向き合うことの重要性について理解できました。

また、発達障害をもつ子どもが体幹を維持することの難しさを、教授自身その場での実演を交えて説明していただき、参加者も興味深く講演を聴くことができたと思います。

3 第2部(パネルディスカッション)

第2部では、講師の石川道子教授に加え、岡崎市教育委員会の柴田昌一氏、NPO法人アスペ・エルデの会の福田美智子氏をパネリストとして迎え、永谷和之会員をコーディネーターとしてパネルディスカッションが行われました。パネルディスカッションでは、@乳幼児期、A小学校時代、B中学高校時代、C成人期の各段階における問題を、医師、教員、親のそれぞれの立場から、いじめ問題、進路、就労問題など具体的なテーマについて熱い議論がなされました。参加者からは、パネリストの「社会の中で少しの支援があれば自立していける。」との言葉に勇気付けられたとの声をいただきました。

4 最後に

新支部会館となり、今回新たな試みとして市民公開講座が実施されました。アンケートを実施した結果、参加者81名から回答があり、本講座を「大変良かった」「良かった」と評価した人は参加者の実に約90%にものぼり、本講座は好評を得ることができました。今後も継続して欲しいとの声が多数寄せられ、市民に開かれた西三河支部会館をどのように運営していくのか、市民の期待の大きさを感じる大変有意義な講座となりました。