会報「SOPHIA」 平成24年7月号より

「女性の権利110番」を終えて


 

両性の平等に関する委員会 委員
安 田 朋 江


1 概要

6月27日、つながれっとNAGOYA(名古屋市男女平等参画推進センター)において「女性の権利110番」が実施されました。  女性の権利110番は、例年、男女共同参画週間(6月23日から29日)に、日弁連両性の平等に関する委員会と各弁護士会の両性の平等に関する委員会の共催で実施されています。当会では昨年度に引き続き、つながれっとNAGOYA相談室との共同開催で、電話相談と面接相談(事前予約制)が行われました。  面接相談では、弁護士だけではなく、つながれっとNAGOYA相談室の相談員の方にもご同席いただき、法的アドバイスと心理的フォロー、行政的アドバイスをカバーできる体制を整えました。  午前10時から午後3時までの相談時間で電話相談は23件、面接相談は10件と多数の相談が寄せられました。  相談内容としては、電話相談では夫婦関係13件(離婚13件、財産分与9件、婚姻費用7件、養育費5件、慰謝料8件、親権4件、年金3件、その他2件)、内縁・男女関係1件、女性に対する暴力5件(DV4件、セクハラ1件)、労働問題1件、その他5件でした。面接相談では、夫婦関係6件(離婚6件、財産分与3件、慰謝料4件、養育費1件、その他1件)、女性に対する暴力4件(DV3件、セクハラ1件)、労働問題1件、その他3件でした(但し、相談内容件数には重複計上あり)。

2 私が担当した相談事例

私が担当した電話相談は、夫からDVを受けている女性の相談でした。  相談者は家庭の事情から、家から出ることができず、DVに耐えるしかないという事案でした。  他にもこの相談者は、専業主婦であるため家を出たとしても、幼い子どもをどうやって育てていくのかという不安も訴えていました。  この件は法的な問題だけではなく、相談者が離婚や別居に踏み切れない事情とどう向き合っていくべきかという心理的フォローも必要であると考え、つながれっとNAGOYA相談室をご案内しました。そして、仮に子どもを連れて家を出た場合に、どの程度行政支援を受けられるのか問い合わせ先もご案内しました。  相談者はこれまで何度も離婚については考えてきたようですが、離婚に踏み切ることができないままでいたようです。限られた時間内での電話相談でしたが、相談者に何らかの得るものがあれば、と思い対応させていただきました。

3 今後について

今回の女性の権利110番では様々な相談が寄せられ、中には深刻なものもありました。  最も多い離婚の相談については、女性のこれからの生活が大きく変わる問題であるため、法的なアドバイスに留まらず、心理的フォロー、行政や福祉の観点からのアドバイスが必要な事例も多く、つながれっとNAGOYA相談室との連携の大切さを改めて実感しました。今回の女性の権利110番を貴重な経験として、今後の法律相談に活用していきたいと考えています。