サクラサイト被害110番 実施される
消費者委員会委員
氏名 岩城善之
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1 平成24年5月30日午前10時〜午後4時まで、愛知県弁護士会でサクラサイト被害110番が実施されました。 前回(平成23年12月実施)は、全国31地域で実施されましたが、今回は、全国32地域で、消費者庁と国民生活センターが後援について行われました。
2 相談件数は、全国で203件、当会では16件でした。 前回の110番では、全国で204件、当会で33件の相談が寄せられたことを考えると、 当会での相談件数は減少し、全国では増加したと見ることができると思います。
3 さて、「サクラサイト」という名称は、聞き覚えがないという方も多数いらっしゃるのではないでしょうか。
前回の110番までは、「出会い系サイト」と呼称していました。 しかし、「出会い系サイト」という名称では、(出会いを目的とした下心のある人がひっかかるものでしょう) (出会い系サイトなんだから自己責任じゃないの?)などといった誤解を招きかねませんでした。 また、実際に各地で提訴した訴訟の結果を見ると、裁判所が被害実態を理解していないと思われる例もありました。
4 「サクラサイト被害」は、サイト業者に雇われた「サクラ」が、 異性、タレント、社長、弁護士、占い師などのキャラクターになりすまして、 消費者の「異性に会いたい」「著名人に会いたい」「相談に乗ってあげたい」「内職をしたい」「運気を上げたい」等の 様々な気持ちを利用し、サイトに誘導し、メールの送受信を継続させるという被害です。 消費者がメール交換をしていると思っている相手が、全てサイト業者が用意したサクラであっても、 消費者は、自分と同じように実在する人物が登録をして、(内容が正しい)メールのやり取りをしているという錯覚に陥っているため、 「今ここでメールを送るのをやめると相手に迷惑がかかる」、 「ここでやめると(相手がくれると言っている)○○万円が手に入らない」などと誤信して、 1通当たり500円ほどかかるメールを何百回・何千回も送り続けます。 サクラサイト被害の中心は、このメール送受信手数料(「ポイント料」と呼ばれます)です。 これらのサイトに共通するのは、「サクラ」の存在であることから、被害の実態をより正確に表現するため、 私たちは「サクラサイト被害」と呼称することにし、国民生活センターも「出会い系サイト」ではなく、 「サクラサイト」という名称を用いるようになりました。
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5 サクラサイト詐欺は、サイト業者が大々的にサクラを雇って行う劇場型詐欺です。国民生活センターによれば、サクラサイトの詐欺市場は2010年には100億円に上っており、いまやインターネット消費者被害の中心になりつつあります。 愛知県では、2年前に弁護団が結成され、今まで継続的・精力的に活動してきました。 今回の110番の当会の相談件数が少なかったのは、既に当会の弁護団の存在が愛知県では広まりつつあるためと考えられますが、 それでも被害が無くなる様子は全く見られません。 一方で、サイト業者やサクラとして雇われた人物が逮捕されたケースやサクラによる被害であることを認めた判決も出ています。 被害に遭ったと思われる方は、愛知市民法律事務所(052-529-6155)サクラサイト被害弁護団事務局までお願いします。