会報「SOPHIA」 平成24年5月号より

参戦!マイナンバーシンポジウムin岐阜



 

情報問題対策委員会 委員
加 藤 光 宏



 国民の意見を聴くはずのシンポジウムを全国各都道府県で順次開催しながら、その半分ほどが終わった時点で、既に法案を国会に提出している。
それがマイナンバー制度の現状である。
そんな中、5月17日に岐阜駅前のじゅうろくプラザで開催された「マイナンバーシンポジウムin岐阜」に、パネリストとして登壇した。
 パネリストは、内閣官房の向井治紀氏、峰崎直樹氏、東海大学教授の河井孝仁氏、経団連の遠藤紘一氏、名古屋税理士会の長谷川敏也氏、そして私の6人である。
コーディネーターは、岐阜新聞の春日井一朗氏が務めた。
明確に反対を唱えているのは私のみという状態での参戦である。
はるばる応援にかけつけてくれた新海・花木両委員の姿が、どれだけ心強かったか。
 私はとにかく、マイナンバーの危険性を、分かりやすく具体的に聴衆に意識づけることに狙いをしぼった。
たくさんの文字を並べた資料を配布し、説明しても、伝わらなければ意味がない。
配布用のプレゼンテーション(以下、プレゼン)資料は、イラストをふんだんに用いて1枚にまとめ、抽象的で理解しづらい危険性を、具体的にイメージしやすく伝えることに重点を置いた。
 これは受けた!と思う。
 さて、本番のパネルディスカッションはというと、各パネリストのプレゼンの後、すっかり脱線した。
 本来は、コーディネーターと各パネリストとの間でプレゼン内容について補足的な意見交換をしつつ、必要に応じて他のパネリストの意見も聴く、という穏やかな進行となるはずであった。
 ところが、私のプレゼンに対して、いきなり政府側から、補足説明がなされたのである。
私の指摘した「危険」に対し、「そのようなことはいたしません」という趣旨の火消し答弁であった。
ゴングが鳴った!こういうときは、感情的に反論しても逆効果である。
私は、冷静に、ポイントを絞って、蜂の攻撃に努めた。
 討論の中で、マイナンバーに非行歴・犯罪歴を関連づけることの是非が話題となった。
政府側はもちろん、「そんなことは意図していません」と言う。
これに対し、私は、「自分の周囲に犯罪歴のある人が住んでいるか知りたいという要望が出てきたとき、多数決の論理で、犯罪歴を関連づけることが正当化されてしまうかも知れない」という主旨の発言をした。
これに対する反論はなかった。
 来場者からの質疑応答は、30分延長して行われたが、その全てが反対意見であった。
「この制度がよく分からなかったので参加したが、本日のプレゼンを聴いて、はっきり反対と言いたい」という意見も出された。
 法案が提出されているからといって、あきらめる必要はない。
これからも、この制度が秘める危険性を伝える努力を怠ってはならないと感じた。
当委員会としても、今後も会員・市民に向けて学習会を開催するなどしていく予定である。