第2回秘密保全法に関する連続学習会開催される
〜秘密保全法の成立が迫っています〜
情報問題対策委員会 委員長
嶌 将 周
4月18日、秘密保全法に関する連続学習会の第2回が開催されました。
この学習会は、現在政府が成立を目指している秘密保全法制の問題点を分析・検討し、会員のみならず市民も交えて意見交換をする場として、3、4、5月と連続開催するものです。
本誌先月号掲載の第1回学習会の報告記事のとおり、秘密保全法は、情報公開制度を形骸化させ、報道の自由を制約し、さらには秘密保全の名の下に市民への監視を強化するものですから、基本的人権の擁護と社会正義の実現を使命とする私たち弁護士全員にかかわる問題です。そこで、当委員会主催の学習会ではありますが、関連委員会として憲法問題委員会から、川口創会員に出席いただいて、報告をしていただきました。
川口会員は、かつての国家機密法案(スパイ防止法案)との比較をされ、@秘密としうる対象が防衛、外交のみならず「公共の安全及び秩序の維持」に関する情報にまで広げられたこと(原発情報も含めうる。)、A処罰対象となる取得行為が犯罪に至らないまでも「社会通念上是認できない行為」とされたこと(範囲がさらに拡大され曖昧になった。)、B未遂や過失行為も処罰対象とされることは同じであること、を指摘されました。国家機密法よりも危険な法律と言えるわけです。
その上で、秘密保全法を制定しなければならないような立法事実はないこと、これまでに生じた情報漏洩問題はすでに立法等で対処済みであること、秘密保全法制定の本当の狙いは日米の安全保障・防衛協力の強化であること、を指摘されました。そして、大震災・原発事故が発生し、自民党が緊急事態条項を盛り込んだ憲法改正案をまとめようとしているこの時期に秘密保全法の成立が急がれていることの意味を考えるべきだ、今この流れを遮断しなければならない、とまとめられました。
続いて、当委員会の四橋和久委員からも報告をしました。
内容は、前月の学習会での報告をバージョンアップしたもの。とりわけ、秘密保全法と情報公開法の関係を明確にしました。すなわち、秘密保全法が成立すると、情報公開法2条2項の「行政文書」から「特別秘密」の指定を受けた文書が外れることになります。したがって、特別秘密について開示請求があったときは、同法9条2項に基づいて文書不存在を理由とする開示しない決定がされることになります。そうなると、仮に特別秘密か否かを司法審査できるとしても、請求者はまずは不存在決定の取消を求め、それに勝訴した場合にはじめて同法5条3号、4号該当性を争うことになります。ただですら、同法5条3号、4号を理由とする不開示で勝訴することが至難の業なのに、二段の訴訟をしないといけないとなると、誰も情報公開をアテにしなくなるでしょう。
秘密保全法に反対する取り組みについては、当委員会、憲法問題委員会、人権擁護委員会(報道部会)等でなされてきましたが、この度、これらを集約して当会が一体となって活動するため、当会内に「秘密保全法制対策本部」が設置されることになりました。6月9日(土)には、評論家の佐高信氏を迎えて、当会主催のシンポジウムが開催されます。秘密保全法を阻止する世論形成の一翼を担っていくためにも、みなさんご一緒に反対の声を上げましょう。