会報「SOPHIA」 平成24年3月号より

第1回秘密保全法に関する連続学習会開催される

〜秘密保全法の成立が迫っています〜



 

情報問題対策特別委員会 委員
花 木 淳 美

1 学習会の開催

3月15日、秘密保全法に関する連続学習会の第1回が開催されました。
この学習会は、現在政府が成立を目指している秘密保全法制の問題点を分析・検討し、意見交換をする場として連続開催するもので、第1回は、会員22名をはじめ、この問題に関心を寄せる市民を含む計67名の参加がありました。


2 秘密保全法

今回の学習会では、冒頭に、「政府が目指している秘密保全法のどこが問題か」と題して、新海聡当委員会委員長が基調講演をしました。


政府は、昨年8月に有識者会議がまとめた報告書を基に法案作成の準備を進めていますが、基調講演では、この報告書について以下の3点に絞って問題点が指摘されました。

第1に、原子力発電所の安全性問題や放射線被ばくの実態、防衛問題、TPP等の外交問題などが「特別秘密」に指定されて非公開とされうるなど、国民の知る権利が侵害されるおそれがあります。

第2に、秘密探知行為である「特定取得行為」を処罰の対象にすることは、報道機関の取材活動や報道に対し重大な影響を及ぼすおそれがあります。


第3に、秘密を保全するために「特別秘密」を取り扱う者に対し「適正評価」を施すなどの人的管理が予定されていますが、管理対象者のプライバシー保護についての検討は不十分です。

講演の最後には、報告書は秘密保全法制によって「国の利益や国民の安全を確保」できるというが、国民主権原理を基本とし、人権擁護を憲法の基本原理とする国家においては、「国の利益や国民の安全を確保」することは、国民に情報をできる限り公開し、民主的な議論を広範に行うことで達成すべきであり、情報を秘密にし、個人を監視し、情報漏えいを厳しく監視することを手段とすべきではないといった提言がありました。


3 会場の声

参加者には市民活動を継続している方も多く、秘密保全法制は、それぞれの抱える課題に対しどのような影響を及ぼすのかといった観点からの質問が多数寄せられました。ひとつひとつの質問に応える毎に、法制が抱える具体的な問題が明らかになっていったように感じられました。終了後の会場内には、いくつもの熱い議論の輪ができていました。


4 結びにかえて

この連続学習会は全3回を予定し、第2回は4月18日(水)に、第3回は5月18日(金)に、いずれも午後6時から当会館5階ホールで開催されます。引き続き秘密保全法制の孕む問題点を明らかにしながら、法制化に向けた政府の動向や学会での議論状況、市民活動の状況など最新の情報を交換し合うことを予定しています。
 この第1回学習会後の3月19日、政府は、今国会への法案提出を見送る方針を固めましたが、次期臨時国会にも提出する構えをみせているともいわれており、その動向を注視しなければなりません。

さらに当委員会は、5月2日(水)には中区栄で街頭行動を、6月9日(土)には評論家の佐高信氏を迎えてのシンポジウム開催を企画しています。この問題について世論形成の一翼を担っていくためにも、多くの会員の参加をお待ちしております。