会報「SOPHIA」 平成23年12月号より

紛争解決センターの歩み 〜14年の歴史〜


紛争解決センター運営特別委員会 副委員長

後 藤 潤一郎


1 愛知県弁護士会紛争解決センター(以下、センター)は平成9年4月に設立され、以来14年の歴史があります。
 設立時は名古屋弁護士会あっせん・仲裁センターの名称でした。その2年後に西三河支部にもセンターが設立され、近い将来、一宮支部にもセンター設立が構想されています。
 以下、センターについてその歴史を簡単に紹介します。


2 会内でのセンター設立の機運の高まりは、前年平成8年の設置準備会発足に至ります。
 この準備会のメンバーは、ADRでの先輩格である第二東京弁護士会の仲裁センター合宿に参加し、他会におけるセンター活用の調査を行い、また制度・運用に関わる規則等の整備に努めました。
 そして発足記念シンポジウムを経てセンター設立となった次第です。
 設立後のセンターの活動は、当時の会報から窺い知ることができます。
 平成9年7月号「成立第1号あっせん委員に聞く」、12月号「出前で仲裁判断第1号」、翌10年7月号「利用者の声を聞く」、9月号「解決事例の紹介と利用状況等について」、10月号「広がる仲裁の輪」、11月号「有益費の償還が争いになった事例の紹介」、12月号「新生児の後遺症に関する和解解決事例」、翌11年1月号「債務整理の条件が争いになった事例紹介」など、ADRを利用した事件の具体的な解決の姿を会員にアピールしました。
 このように紛争の具体的な解決が続々と得られるようになってきた時期、平成11年4月に西三河(当時岡崎)支部にもセンターが設立されました。
 両センターを併せた年間申立件数も近時300件前後で、全国の弁護士会ADRの中でトップの件数を誇っています。


3 支部でセンターが設立されたころから「あっせん・仲裁人研究会」を定例的に開催するようになりました。
 会報をたどると、平成11年10月、12年7月、13年7月、14年6月・11月、15年5月、16年1月、17年1月・8月、18年2月、19年3月、20年2月・6月・10月、21年7月、22年2月、23年1月・10月に開催したことが報告されています。
 研究会は折々の時期に相応しいテーマを中心に開催され、多くがあっせん・仲裁技法や解決事例研究に関することになりますが、専門家あっせん・仲裁人の役割や医療過誤に関するテーマも取り上げられました。
 また、センター設立の5年目に当たる平成14年6月、10年目に当たる平成19年9月には記念行事が開催されました。平成24年は15周年記念行事が予定されています。


4 さて、センターの最近の姿について特筆すべきは平成20年6月に法務大臣の認証を取得したことです。
 現在の「紛争解決センター」に名称が変更されたのもこの時期です。
 平成21年には医療ADRが、22年には金融ADRもセンターの守備範囲に入るようになって、ますます多角的な紛争解決機関としてセンターが位置付けられてきています。