会報「SOPHIA」 平成23年12月号より

センター利用による「納得」できる紛争解決


紛争解決センター運営特別委員会 委員長

増 田 卓 司


1 当事者の「納得」による「紛争解決」

ADRにおける紛争解決の基礎は当事者の合意(私的自治)です。

当会の紛争解決センター(当センター)は、あっせん・仲裁人が話し合いの交通整理をし、当事者の意思に基づいた当事者が納得する公正・中立な紛争解決を目指しています。

ADRの制度設計・運営は各機関により様々ですが、当センターの特徴は以下のとおりです。


(1)取り扱う事件は民事に関する紛争です

話し合いによる解決の可能性があれば、原則としてどのような事件でも扱います。


(2)手続は「和解あっせん」と「仲裁」です

後者は、当事者の「仲裁合意」に基づき仲裁人が「仲裁判断」を下します。

審理状況により、あっせんから仲裁、仲裁からあっせんへ手続を変更することも出来ます。


(3)申立手続は簡便です

定型的な申立書式はHPからダウンロードできます

申立の趣旨と理由を簡潔に記載していただければ結構です。

「相当額の支払(相当な解決)を求める」といった申立も出来ます。

会社の内紛等訴訟になれば複数の請求を立てなければならないような事件を一挙に解決することも可能です。


(4)管轄の定めはありません

当事者双方の住所地が愛知県外であっても利用出来ます。


(5)費用は比較的低廉です

申立手数料1件1万500円、成立手数料が別途必要ですが、いずれも減免措置があります。


(6)あっせん・仲裁人を指名できます
 当事者は、あっせん・仲裁人を指名することができます。


(7)専門紛争に対応できます
 事案により、専門家あっせん・仲裁人や専門委員がパネルに入り、建築、医療、金融等の専門紛争に対応します。


(8)迅速な解決ができます
 平成22年の解決事件の平均審理日数は受理日から173日、第1回期日から126日、平均審理回数は4回でした。


(9)開催の時間、場所等に配慮しています
 期日は、原則平日の午前10時〜午後4時の開催ですが、事案や当事者の都合に合わせて、土日や時間外にあっせん・仲裁人の事務所で開催することも可能です。


(10)手続は柔軟です
 当事者が遠隔地にいる場合、電話やFAXを利用して期日を開催することも出来ます。建築紛争等では、早い段階で、現地での検証やあっせんをすることも可能です。


(11)将来指向の解決が可能です
 和解内容に謝罪や今後の関係改善を盛り込む等将来指向の解決をすることが出来ます。

 


2 「法的効果」の付与
 当センターは法務大臣の認証を受けているため、ADR法上、あっせん手続について、@時効中断効(法第25条)、A審理の係属中における訴訟手続の中止(法第26条)、B調停前置主義の特則(法第27条)の法的効果が付与されています。
 執行力は付与されませんでしたが、当センターは、分割弁済を合意した和解成立事案について、名古屋簡易裁判所と即決和解、名古屋家庭裁判所と即日調停の利用に関する取決めをし、執行力の確保を図っています。

また、和解内容について仲裁合意をし、和解的仲裁判断をすることによって執行力を確保することも出来ます。