会報「SOPHIA」 平成23年10月号より

法の日週間記念行事

そのとき命を繋ぐために

〜東海地震に備える防災新常識〜



広報委員会 委員
樅 木 良 一

  1. はじめに

    平成23年10月23日、中区役所ホールにて名古屋市と当会の共催で法の日週間記念行事が開催された。当日は、350人ほどの聴衆で会場は埋め尽くされ、大盛況のもと講演やパネルディスカッションが行われた。

  2. 第1部(山村武彦氏講演)

    第1部では、防災アドバイザーの山村武彦氏から、多くの震災現場に実際に赴いて得た経験を踏まえて「山村流〜目からウロコの防災新常識〜」と題して、講演をいただいた。

    その中で、山村氏から、@ぐらっときたら津波警報。津波・洪水逃げるが勝ち、A俗説を信じず最悪を想定して行動せよ、B健常者は車を使わず遠くより高く、一度避難したら戻らない、という山村3カ条が披露された。

    @では、津波の速さが紹介されたうえで、津波からはすぐに逃げなければならないこと、避難訓練でよく指導を受ける「走らないで避難する」というのではなく「走って避難する」という訓練が大事であることを今回の大震災で多くの生徒が避難することができた学校の実例をまじえ説明された。

    Aでは、過去の経験は教訓だけでなく危険性もある事が紹介された。例えば「過去の大きい津波の時は、ここまで水が来た」という経験は、逆に大きい津波でもここまでしか来ないという認識に変わり、過去に比して大きい津波や災害に対して、危機感が薄れるというものである。

    Bでは、車での移動は渋滞を引き起こす危険性があり、控えるべきだが、そのような危険のない地域では車で移動しても構わず、臨機応変に対応すべきことが説明された。

    さらには、自助・共助だけではなく、「近助」が大切であり、いざという時の助け合いのために「向こう3軒両隣」の精神で、近所との繋がり・絆を大切にすることが「命を繋ぐため」に大切であるとのことであった。

    防災のためにどのような心構えが必要かを惜しみなく教授していただき、そのどれもが私にとって新鮮であって、まさに目からウロコが落ちる講演であった。

  3. 第2部(パネルディスカッション)

    第2部では、中京テレビアナウンサーの本多小百合氏をコーディネーターとして、山村氏、愛知県防災局長の中野秀秋氏、当会の澤健二会員の3名をパネリストとしてパネルディスカッションが行われた。会場から多くの質問が寄せられ、今回の震災を受けての愛知県の対応、それに対する山村氏からの批評があり、澤会員からは災害後の法的問題を経験踏まえ、説明いただいた。なお、本多アナが自身のブログで本行事について日記を書かれているので、ぜひご覧いただきたい。

  4. 最後に

    山村氏の講演から、震災が起った時どうするかではなく、その前の準備がいざという時、命を繋ぐために大切であることを痛感した。