会報「SOPHIA」 平成23年7月号より

全国一斉「雇用と生活問題」

ホットライン開催される



会員 小 田 直 子

1. はじめに
この度の東日本大震災やその後の計画停電、節電の影響を受けて、平成23年6月24日、「震災・節電の影響による『雇用と生活問題』ホットライン」が全国一斉に、統一の電話番号で行われました。当会では、午前10時から午後8時まで4回線で対応しました。

2. 集計結果

(1)相談件数は、合計28件でした。相談票において、「震災の影響があった」とするのは2件、「震災の影響がなかった」とするのは15件、「影響の有無が不明」が11件でした。

(2)相談者の年齢は、30代が2件、40代が8件、50代が8件、60代が4件、不明が6件でした。

(3)相談内容は、労働相談が22件、生活相談が4件、その他(一般民事)が2件でした。

(4)相談結果は、「継続相談又は受任」が3件、「後日、必要な場合、相談担当者に連絡してもらうよう連絡先を教えた」が2件、「相談のみで終了」が19件、不明が4件でした。

(5)相談にあたっては、相談員に対して事前に「相談員向けマニュアル」、参考資料(労働分野レジュメ、厚労省通知(生活保護関連)、第二のセーフティーネットの制度支援ガイド)及び日本弁護士連合会災害復興支援委員会作成の「東日本大震災法律問題Q&A」が配布されました。


3.相談内容(概要)

(1)震災による影響あり
東日本大震災による雇用や生活への影響が懸念されていましたが、当会では、「震災の影響があった」とするご相談は以下の2件のみでした。
ア 東北の会社に息子が採用され、4月から働くはずだったが、取引先が被災したとの理由で自宅待機を命じられている(50代)。
イ 震災の影響で仕事がないという理由で、会社を辞めるか自宅待機するようにと言われている(50代)。

(2)震災による影響なし、又は不明
「震災による影響なし」「不明」に該当するご相談は、合計26件でした。以下のとおり、深刻なご相談がいくつもありました。
ア 仕事中に事故に遭い、解雇された(50代)。
イ 借金があることを理由として解雇されそうになっている(40代)。
ウ 試用期間中に解雇された(40代)。
エ 有給休暇を取得しようとしたところ、解雇された(40代)。
オ 賃金が3か月未払いになっている(50代)。
カ 職場でいじめを受けている(40代)。
キ 失業中だが生活保護以外に制度がないか(40代)。


4.まとめ
集計結果のとおり、当会のホットラインでは、「震災の影響があった」とする方は28件中2件のみと少なかったのですが、直接的な影響だけではなく、統計にあらわれていない間接的な影響も含めるともっと多いという印象でした。「直接震災の影響があるわけではないが、仕事が減っていることは間違いない。」とおっしゃっている相談者もみえました。
また、年代でみると40代及び50代のご相談が28件中16件と全相談のうちの半数以上にも及び、相談内容も解雇や失業に関するものなど深刻なものが目立ちました。