地方消費者行政に今、求められるもの
〜地方消費者行政充実シンポジウム〜
消費者問題対策特別委員会 委員
小田 典靖
平成23年3月5日(土)午後1時10分から、当会会館5階ホールにて地方消費者行政充実シンポジウム「地方消費者行政に今、求められるもの」が開催された。変革期にある地方消費者行政について、現状や国からの今後の支援の在り方を専門家や関係者から報告してもらうという企画である。
基調報告は、仙台弁護士会の鈴木裕美弁護士にお願いした。鈴木弁護士は消費者運動の第一人者で、国からの具体的な支援が必要なことを力強く訴えられた。
その後は、当会の取組みを2つ紹介した。1つは、平成23年度から名古屋市の生涯学習センターと女性会館において消費者問題に関する連続講座を開催することになったというものである。もう1つは、自治体における消費者相談窓口の実地調査結果を報告するもので、星野真二会員、柴田将人会員、山本晋也会員により取りまとめられた報告書は、参加者より大変高い評価が得られた。
引き続き、愛知県、名古屋市、豊川市、相談員によるリレー報告があった。とくに豊川市が相談時間を増やした結果それに比例する以上に相談件数が伸びたとの報告は、消費者行政を充実させるべき必要性があることを裏付ける好事例であった。
そして、最後は、消費者庁からお招きした福嶋浩彦長官の特別報告があった。福嶋長官は、究極的には住民に選択してもらう必要があるとの前提から、国からの強制ではなく、自治体内部での意識改革や自治体が自由に使える恒久的な財源を確保することにより、地方消費者行政を充実させるべきではないかと主張された。
消費者行政分野に限定された国からの財政支援を求める声が相次いでいたため、長官の考えは他の意見とは対立を含むものであった。しかし、長官からは、後日「お互いに直に向き合って議論することができ大変有意義であった」との感想が伝えられており、国からの支援の必要性について、それなりには伝えられたのではないかと思う。
いずれにしろ課題が多い現状であるから、来年度も引き続き、地方消費者行政の充実に取り組んで行く必要があると思われた。