平成22年度暴力追放セミナー
民事介入暴力対策特別委員会
委員 熊 谷 豊 和
委員 熊 谷 豊 和
- 2月25日(金)、名古屋市中区金山の中京大学文化市民会館オーロラホールにて、平成22年度の暴力追放セミナーが開催された。同セミナーは、暴力追放愛知県民会議(以下「県民会議」という)主催、愛知県警・当会の後援で毎年開催されているものである。
本年4月には愛知県暴力団排除条例の施行を控えていることもあってか、一般市民の方の暴力追放運動に対する関心は高いようであり、約2200人収容の会場には大勢の参加者が集まった。
- セミナーは、県民会議の井口専務理事の開会のことばで始まり、その後、第1部として「対決暴力団!!〜暴力団排除条例が目指す社会〜」とのテーマで、愛知県警本部刑事部組織犯罪対策局の平松立信局長による基調講演が行われた。
平松局長からは、近時の暴力団情勢や愛知県暴力団排除条例の概要、暴力団犯罪の特性などの報告がなされた。暴力団情勢については、近年、暴力団における規模・資金力等の格差が鮮明になっており、このうち資金力が乏しい下部組織では、加入強要(暴力団員になるよう強要すること)・脱退妨害(暴力団からの脱退を妨害すること)の事案が目立っているなどの報告がされた。
また、昨年10月に成立し本年4月1日から施行される愛知県暴力団排除条例について、特別区域に指定された名古屋市中区の一部の繁華街では、特定接客業者が暴力団員を用心棒として利用してトラブルを解決することが禁止され、違反者には罰則が科されることになるなど、同条例の内容が分かりやすく説明された。
講演の最後には、今回の暴力団排除条例制定を契機に、愛知県警も総力を結集して暴力団のない社会の実現を目指していきたいとの力強い決意が述べられた。
- 第2部は、「民暴事件の実態と対策〜寸劇を通して学ぶ民暴被害の防止策〜」と題して、劇工房MAKO企画による寸劇と当委員会委員によるパネルディスカッションが行われた。寸劇は2つのストーリーで構成されている。一つは、キャバクラの店長が、賭け(イカサマ)マージャンで暴力団員に対し高額な借金を作らされ、その借金返済のために暴力団員にさせられてしまうというストーリー。もう一つは、建設現場で働く現場監督らに対して暴力団員が不当な要求を繰り返し、現場監督らが一度要求に応じてしまったのを契機に、暴力団員が要求をエスカレートさせていくというストーリーである。
いずれのストーリーも現実に存在した事例を参考にして作成したもので、当委員会のシナリオ作成担当の委員を中心にして、昨秋から準備を進めてきたものである。寸劇では、劇団の方の渾身の演技により、暴力団員の巧みな手口がリアルに表現されていた。
この寸劇に引き続いて、暴力団員からの不当要求・クレームに対する具体的対応策について、加島光・名越陽子両委員によるパネルディスカッションが行われ、寸劇の中で行われたクレーム対応の問題点やよりよい対応方法が分かりやすく説明された。
その後、当委員会の木本寛委員長が壇上に上がり、第2部の総括として、近時の暴力団対策関連法令に関する報告や、当委員会及び県民会議の活動内容の紹介などがなされた。
- 最後には、山口晃司氏による華麗な津軽三味線が披露され、今年度の暴追セミナーを締めくくった。