会報「SOPHIA」 平成22年11月号より

自立援助ホーム


デンマーク牧場訪問記



子どもの権利特別委員会  委員
加藤 真隆

  1. 11月15日、中弁連子どもの権利に関する委員会及び当会子どもの権利特別委員会による施設見学旅行が行われました。今回は、静岡県袋井市にある「デンマーク牧場」の見学となり、当会及び他の中弁連所属会から総勢20名が参加しました。
     デンマーク牧場は、かつてフリースクールとして子どもたちに生活の場を提供していましたが、平成19年に自立援助ホーム・児童養護施設・精神科診療所が設置されるに至りました。子どもたちは、約50万平方メートルの広大な敷地の中で、豊かな自然に囲まれて生活しています。
  2. デンマーク牧場では、自立援助ホームで生活する寮生たちが牧場の仕事を手伝いながら生活しています。
     私たちは、当日、長靴と軍手を着用し、寮生やスタッフの指導を受けながら、牛舎の糞掃除、乳搾り、牛の散歩を体験しました。
     これらの体験は、小中学校の総合学習として利用されることも多く、その際にも寮生たちがスタッフと一緒に指導にあたるそうです。
  3. 作業体験終了後、スタッフからの説明を受けながら、自立援助ホームや児童養護施設内の見学をしました。いずれの施設も明るく広々としていました。また、各自の部屋は、すべて個室となっていました。
  4. 精神科診療所内も見学することができました。診療所には、児童精神科や発達障害に対応できる医師が常駐しており、自立援助ホーム・児童養護施設で生活している子どもたちのフォローをしてくれています。  子どもたちの中には医師の継続的なフォローが必要な子もいます。他の病院であれば、スタッフが付き添って半日かかって通わなければならないため、診療所の存在は非常にありがたいとのことでした。
  5. その後、自立援助ホーム・児童養護施設の施設長からお話を伺いました。職員が、正解のないままに悩みながら試行錯誤で何とか対応していること、児童養護施設の職員が平均2年半で辞めてしまうことなどの現状を聞くことができました。また、近年問題となっている施設内虐待についても、職員個人の問題ではなく、対応の仕方を間違えると誰でも起こしかねない問題であるとのことでした。これを防止するためには、何をやるにも職員1人ではなく複数人のチームで対応することが重要であり、それができる人的体制が必要であるとのことでした。
  6. 短時間ではありましたが、子どもたちが実際に生活する場所を見ることができ、現場の職員からのお話を伺えたのは、非常に有益でした。
     普段の仕事ではこのような機会がほとんどありませんので、今後も機会があれば参加したいと思っています。