会報「SOPHIA」 平成22年11月号より

法の日週間記念行事(10月31日開催)


『もったいない』から始める北野式環境論



広報委員会 委員
菅沼 勝己
  1. はじめに  
    10月31日、中区役所ホールにて、名古屋市と当会の共催で法の日週間記念行事が開催された。折しも、名古屋市で生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)が行われたばかりであり、環境に対する市民の関心が高まる中での開催となった。
  2. 第1部(北野氏講演)  
    第1部では、環境化学の専門家である北野大氏の講演が行われた。北野氏は、タレントであるビートたけし氏の実兄としても有名であり、コメディアンの親族というに相応しく「笑い」の絶えない講演となった。冒頭で、北野氏から、講演を聞きに来て居眠りをする人は、将来「寝たきり」になる可能性が極めて高いという恐ろしい研究結果(?)が発表された。この「笑い」により、観客の眠気は吹っ飛び、場内は「環境」について真剣に考える雰囲気となった。  北野氏の環境論の最終目標は、将来の子ども達のために持続可能な社会を作ることである。そして、その実現のためには、できる限りCO2を出さずに温暖化を防ぐ必要があるとの指摘がなされた。  その後、北野氏は、環境にとっては、「心」の問題も重要であると述べられた。CO2を出さないようにするためには、「モノの豊かさ」から「心の豊かさ」への価値観の転換が必要であり、そのために、本物に多く触れることで物質的満足から精神的満足を得ることを重視する考えである。  これまで、環境対策といえば、こまめに電気を消す等のエコ活動くらいしか意識したことはなかったが、北野氏の講演により、環境対策の根本は、古来から日本人が持っている「少欲知足」という考え方にあるのかも知れないと思うに至った。
  3. 第2部(パネルディスカッション)  
    第2部では、樽井直樹会員を聞き手とし、北野氏に加え、アウトドア自然派タレントの鉄崎幹人氏、COP10支援実行委員会アドバイザーを務められた香坂玲氏の3名をパネリストとしてパネルディスカッションが行われた。  香坂氏は名古屋で開催されたCOP10の内容を説明され、鉄崎氏は愛知県の自然が破壊されている現状を話された。鉄崎氏が会場に示した写真からは、自然破壊が深刻な状態であることがよく分かり、会場からは大きな反響があった。それぞれの立場から、環境に対する考え方が示された。
  4. 最後に  
    北野氏の講演から、パネルディスカッションの終了まで、会場は終始熱気に包まれていた。会場に足を運んだ観客の中で、本行事が原因で将来「寝たきり」になる人は皆無であったと思われる。