会報「SOPHIA」 平成22年10月号より

第53回日弁連人権擁護大会開催

第1分科会


「子どもの貧困」

〜すべての子どもの生存と発達を保障するために〜


人権擁護大会シンポジウム第1分科会実行委員
人権擁護委員会生活保護問題部会長
森  弘 典
  1. 2010年10月7日、盛岡市民文化ホール大ホールで、シンポジウム「子どもの貧困」が開催され、地元の高校生を含む966名の方々が参加されました。私はシンポジウム実行委員として関わりました。


  2. 第1部「基調講演」では、立教大学教授の浅井春夫氏が「子どもの貧困」の現状とこれを捉える視点を明らかにされました。特に、「子どもの貧困」は、人生のスタートラインでの不平等の現れとして、人生はじめの時期に希望、意欲、やる気が奪われている現実として見るべきだ、との指摘は重要だと感じました。
     第2部では、「子どもの貧困」の実態が演劇と「当事者の声」により明らかにされました。演劇では、「貧困」な家族や子どもたちが脆弱で、うまく行きかけても小さなほころびからつまずいてしまうこと、社会の支援が必要なことがよく描かれていました。その後に「当事者の声」を聞くことにより、より一層「声」が持つ意味が浮き彫りになりました。
     第3部「提言」では、実行委員会から「子どもの貧困」の現状と海外調査の基調報告を行った後、「子どもの貧困」に対して何をすべきか提言しました。提言は、翌日の大会で「貧困の連鎖を断ち切り、すべての子どもの生きる権利、成長し発達する権利の実現を求める決議」として採択されました。パネルディスカッションでは、「子どもの貧困」をなくす社会的合意を形成していくために何をすべきかがパネラーの方々から述べられました。


  3. 「子どもの貧困」をなくすためには、社会が子どもを育てていくという合意形成が必要ですが、弁護士会自身としてもそのために真剣に取り組んでいかなければならないことを痛切に感じました。