会報「SOPHIA」 平成22年8月号より

「特集 中高生のためのサマースクール」

法教育・学びを深めた弁護士の


先生方との授業づくり!



愛知教育大学 社会科教育講座 講師 真島聖子子
当大学の4年生を対象に「判決書教材を活用した人権教育の授業づくり」を始めて2年目となる。今年度は、愛知県弁護士会の庄司俊哉先生をはじめ、総勢7名の弁護士の先生方に授業づくりに参加していただいた。


この授業のねらいは、大きく3つある。
  1. 専門的知識や見方、考え方を弁護士の先生方から学ぶことで、教材研究を深め、授業づくりの質を上げる。
  2. 専門家を授業に招く意義やよさを実感することで、将来の学校現場での授業づくりに役立てる。
  3. 授業づくりの難しさや奥深さを体験することで、教師が果たす役割を再確認し、教師としての専門性を高める契機とする。

 前期の授業終了後、「この授業で学び取ったことは何か」をレポートさせたところ、多くの学生が、弁護士の先生方との授業づくりを取り上げていた。その中から、授業のねらいにそって、以下の3つを紹介しよう。

【@専門的知識や見方、考え方を学ぶ】
 「弁護士の方に来ていただき、裁判は、お互いの権利と権利のぶつかり合いであり、公共の福祉の裏にも個人の尊厳が存在していることや、それぞれの個人の基本的人権には『公共の福祉に反しない限り』と公共の福祉が内在されていることを初めて知った。また、100%保障される権利など無く、社会の目によっても判決は変わってくるため、『正義』というのは、時代によっても変化することを学んだ」
【A将来に役立てようとする視点】
 「何よりも本物の弁護士の方と話す機会を設けてもらったことは非常に貴重な体験となった。専門の方の事例に対する考え方や見方、人権についての新たな知識はとても新鮮で、とても勉強になった。専門の方と触れ合うことは非常に刺激になるし、興味も持ちやすいと思うので、教員になった後、できれば生徒たちにもそういった経験を味わわせてあげたいと思った」
【B教師自身の学びの必要性】
 「一人の教師だけで、授業をつくっていくのには限界があると思う。特に、今回の様な専門的な理解が必要な場合は、たくさんの人に協力を仰ぎ、子どもたちに教えたり、伝えたりする前に、まず教師自身が教えられ、学んでいく必要があると思われる」  法律の専門家ではない私自身、学生と同様の不安を抱えながら授業をしている。そんな中、庄司先生には、お忙しいところ、何度も当大学に足を運んでいただき、授業のアドバイスや学生への助言、法教育の必要性など、爽やかな雰囲気を醸し出しながら、熱く語っていただいた。改めて、大学における法教育の充実に力を注ぐ必要性を強く感じるとともに、弁護士の先生方とこれからも様々な形で協働していけたら、学生のためにも、学校教育への貢献にもつながると思った。今後とも、ご指導、ご協力よろしくお願いいたします。