会報「SOPHIA」 平成22年6月号より

全国一斉リース被害110番報告


消費者問題対策特別委員会
委員 牧野 一樹
1.相談件数など

5月21日、当会と悪質リース被害名古屋弁護団との共催にて、リース被害に関する110番を実施したところ、37件と予想を上回る相談が寄せられました。

今回は、ホームページ製作請負契約の代金支払にリース契約が用いられることが多くなっているため、不要・過大な機能を有するビジネスフォンの訪問販売に限らず、リース契約が悪用・濫用されている疑いがある取引について対象を拡大して被害の情報収集を行いましたところ、11件がホームページ製作に関する相談でした。

2.ホームページ製作に関する苦情の概要

ホームページ・リースで噴出する苦情の多くは、「ホームページでの問い合わせ、反応を増やすようにしませんか?」「当社のホームページではSEO対策をします。」などといった勧誘を受けて契約したが、実際に完成したホームページにはアクセスはなくSEO対策もされておらず、高額なリース料債務だけ残っているので解約したいといったものや、今回の110番で多かったのは、リース期間が残っているのに、ホームページ製作会社と連絡が取れず、更新できないのにリース料債務だけ残ってしまったので解約したいといったものです。

3.ホームページ製作の労務はリース契約の目的物となるの?

社団法人リース事業協会によれば、リースとは「企業等が選定した設備等をリース会社が取得して、その企業等に比較的長期間賃貸する取引」と定義されています。

ソフトウエアリースの法律関係は、ソフトウエアがリース契約の対象である「設備」たり得ることを前提として、リース会社がサプライヤーとの使用権設定契約に基づいて取得したプログラムの(非独占的)使用権につき、リース会社がそのプログラムの使用権(再使用権)を認めるといういわば転貸借関係ということができます。つまり、リースの対象はソフトウエアそれ自体であり、リース契約は、そのソフトウエアの賃貸借を中核としたものとして、ソフトウエアに付随する保守や修繕業務の対価をリース料に含むことは本来できない筈です。

4.参考となる裁判例

役務の対価がリース契約に含まれないことを確認した裁判例としては、福岡高等裁判所(平成2年(ネ)第328号)平成4年1月21日判決があります。

同判決は、警備会社が、顧客に対し、警備機器をリース目的物とし、その代金に警備料という役務の対価を上乗せしてリース会社とのリース契約を結ばせた事案において、警備機器と警備料とが、社会経済上、密接不可分に関連していたとして、リース会社が提起した本訴請求中、社会通念上相当と認められる購入価格から算定される本件警備機器の適正なリース料及びリース料相当損害金を越える部分の支払を命じることは、信義則に反して許されないとして役務代金部分のリース料支払義務を否定しています。

5.弁護団の今後

当弁護団では、電話機リース被害についてクーリングオフを認める高裁判決を獲得するなど、被害救済に努めてきました。今後は、ホームページリース被害についても、妥当な解決が得られるよう頑張っていきたいと思います。