会報「SOPHIA」 平成22年5月号より

憲法週間記念行事(5月22日開催)


堀田力の幸福論



〜ハッピーシニアライフを送るために〜


広報委員会 委員
積 木   潤
  1. 5月22日、名古屋市中区役所ホールにて名古屋市・当会共催の憲法週間記念行事が開催された。


  2. 第1部 対談(堀田力氏(さわやか福祉財団理事長、弁護士)、聞き手:川合伸子会員)

    ご存じの方も多いが、堀田氏は元東京地検特捜部長である。定年退官を待たずに退官して福祉を目指すきっかけとなったのは、赴任先のアメリカで地域ボランティアが盛んに行われている様子に触れ、日本でもこれを広め温かい社会を作りたいと思ったことであったそうである。対談では、当初の苦労話や現在の活動内容についてお聞きした。

    現在の活動は、「ふれあいの居場所」作り、「時間通貨」など。ふれあいの居場所とは、気楽に集まれ年齢性別を問わず交流できる場所とのことである。行政機関の空スペースを借りるなどし、そこでそれぞれが得意な分野で誰かの役に立つというコンセプトである。人は人から感謝されることが人生の生き甲斐になる、人生最後までその人の能力を活かせる場を作ることが大切とのことであった。元庭師で車椅子生活だったある高齢者の方は皆のために庭木の剪定をするうち立って歩ける程になったという。「時間通貨」(その時間分だけ人に何かを頼める通貨)もそこでの人との交流を助ける手段。何もなしには言い出しにくい頼み事を「時間通貨」を払うことで頼みやすくし、それが交流に繋がるという。

    最後に、シニアライフ予備軍である40代、50代の方々へのアドバイスも頂いた。定年前日まで仕事を辞めた後のことを考えないのはダメ、今から定年後にしたいこと、パートナーや地域との関わり方等を考えておくこと、とのことであった。



  3. 第2部 パネルディスカッション(パネリスト:堀田氏、平川仁尚氏(名古屋大学医学部附属病院老年科医師)、平井俊圭氏(社団法人伊賀市社会福祉協議会事務局長)、コーディネーター:松隈知栄子会員) 

    第2部では、医師の平川氏、ケアマネージャーでもある平井氏を交え様々な角度から高齢社会についての問題を掘り下げて頂いた。

    平井氏より高齢者を狙った悪徳商法についての解説があった。その特徴はご自身が騙されていることに気づかないことが多いということ。早期発見としかるべき相談機関へ繋ぐことが重要とのことであった。医師である平川氏からは認知症の解説。健康とは、身体的な面だけでなく、精神的、社会的な意味でも満たされる全人的健康のことをいうのであり、ご本人が生き甲斐をもって生活を送ることが重要であるとのことであった。認知症が原因で被害者となる場合のほか、意図せず犯罪者となってしまう場合もあるので、医療の面からも早期発見が重要とのことであった。

    両氏と堀田氏との間では、家族、医師、看護師、ヘルパー、配食サービス、地域ボランティア等々の連携の重要性が再確認された。



  4. おわりに

    当日は500名が定員の会場はほぼ満員であった。「シニアの中でもヤングな方々」(堀田氏談)のご参加が多く、高齢社会に対する問題意識の高さが伺われた。