会報「SOPHIA」 平成21年8月号より

失業保険から生活保護へ

「雇用と生活 刈谷相談会」に

参加した新人の一考察

会員
中村 圭佑
1 混雑したブースは生活保護

平成21年8月2日に刈谷市のアイリスホールで実施された「雇用と生活 刈谷相談会」で最も多くの相談者が訪れたのは、意外に思われる会員もおられるかもしれないが、生活保護相談のブースであった。

2 派遣切りから失業保険へ

私は、生活保護相談が多いことを、ある程度予想していた。

本相談は、同年7月15日に当会で実施された「雇用と生活 全国一斉無料法律相談」に続くものである。この相談会では「以前派遣切りもしくは雇い止めにあって失業保険を受けており、失業保険の給付を受けていたが、まもなく給付期間が終わる。今後どうすれば良いか。」との相談が私の担当では多かった。

派遣切りや雇い止めの一歩先をゆく現実を考え、数ヶ月後に実施される本相談に際しては生活保護相談が多いと予想したのである。

3 失業保険から生活保護へ

今回の相談は、大会議室をいくつかのブースに分けて応対を行った。すなわち、@労働・非正規雇用、A多重債務相談、B生活保護相談、C賃貸住宅追い出し相談、D健康・医療相談である。

当日は、ボランティアの方々が最初に相談者の問題を聞き取り、上記ブースを回る形式をとったため、複数のブースを回る相談者もいることから、どの相談に何人の人が訪ねたかという正確な統計を取ることは困難だが、上述のとおり、最も継続して相談者が訪れたのは生活保護のブースであった(実際、ブースと人員が不足し、途中で増員を行うこととなった)。

昨年からの雇用情勢の悪化に伴う、派遣切り・雇い止めによって失業した人々が失業保険、生活保護と次第に状況を悪化させている状況が浮き彫りになっているように思われた。

4 ボランティアの方々の協力

このように、相談の内容は悪い意味で予想が当たる形となってしまったが、その中でも救いだったのはボランティアの方々の協力である。

ボランティアの方々が付き添ってそれぞれのブースを回っていく手際には熟練されたものを感じさせられ、雇用と生活の問題も次第に技術の蓄積がなされているように感じられた。深刻な問題にも明るく応対されるボランティアの方々の姿を私は忘れないだろう。

5 職能の協闘

協力は弁護士以外の専門家からも得られており、Aでは司法書士の方が、Cではミニミニの職員の方が、Dでは看護師の方が、それぞれ常駐してくださり、上記多数のボランティアの方々の協力と併せて、雇用と生活の問題に対応する横断的な協力体制はますます充実に向かっている。

6 結論

最後に、相談に参加しての感想であるが、同じ部屋で先輩会員の相談の様子を間近に見ることが出来たことは、相談の内容からすれば不謹慎かもしれないが、参考にするところ大であった。「勉強させていただいた」の一語につきる。

次回の相談は10月に岡崎で実施されると聞き及んでいる。一人でも多くの会員の参加を呼びかけ、本稿の結論としたい。