会報「SOPHIA」 平成21年8月号より

「派遣切り・雇い止め・

生活保護ホットライン」に

参加して

会 員
山本 亮
1.相談会当日の状況

7月15日(水)に、弁護士会館の相談室において、「派遣切り・雇い止め・生活保護ホットライン」無料法律相談会(電話相談・個別面談)が実施されました。

この時期に相談会が実施されたのは、昨今の厳しい雇用情勢下で、本年3月末で雇用契約が終了した人の雇用保険の給付期間(90日)が終了するのが6月末であり、多数の生活困窮者が出ることが見込まれたためです。

当日は午前10時から午後8時まで、相談担当弁護士26名で対応しました。相談件数は128件で、そのうち外国人の相談者は13人でした。また、生活保護申請について急を要する方について申請同行を行いました。

2.相談内容について

相談内容は、労働問題が62件(非正規雇用の解雇等13件、正規雇用の解雇等13件、雇用保険の問題14件、給与・残業代未払い・勤務条件13件、労災4件、セクハラ・パワハラ4件、その他1件)、債務整理の問題19件、生活保護の問題41件、年金、国保の問題3件、その他14件でした(重複あり)。

労働問題について、解雇が問題となっているケースの件数は非正規雇用と正規雇用で大差ありませんでした。

非正規雇用では派遣切り、偽装請負の問題が散見され、外国人であることを理由とする派遣切りや雇用保険に加入させてもらえていないなどといった相談があり、非正規雇用の不安定な状況をそのまま反映したような相談が多くありました。

正規雇用についても、景気の低迷による人員削減の圧力が強く、わずかなミスをとらえて退職を強要されたり、賃金が大幅にカットされたりしたという相談がありました。

雇用保険については、予想通りもうすぐ雇用保険の受給が終了するという相談が多くありました。

そして、最も件数が多かったのが生活保護に関するものです。初めから生活保護の受給に関して相談される方もあり、福祉事務所の対応に問題があるケースもありましたが、雇用保険が切れ、次の再就職先も見つからず、所持金も底をついているという状況で生活保護以外に選択肢がなく、保護申請をアドバイスしなければならない方の相談が多数でした。

また、多重債務の問題も相当の件数があり、解雇等による収入の減少・途絶で支払いができなくなったというものがかなりありました。

この他、いわゆる追い出し屋の問題についても相談の対象として想定していましたが、件数としてはありませんでした。

3.参加した感想

私自身が受けた電話相談でも、生活保護の受給をアドバイスしなければならないケースが多くありました。

低い雇用条件のもとで、自分の身を守るための預貯金を作ることができず、ひとたび解雇や疾病で働けなくなった場合に、雇用保険と生活保護というこれまた十分とはいえないセーフティーネットから漏れてしまうと、いかに厳しい状況に置かれるかということをまざまざと見せつけられた感じがします。

労働者の連帯が薄れ、個々の労働者が声を上げにくい現在にあって、法律相談により声にならない声を吸い上げ、法的なアドバイスによって問題の解決を図っていくことは、極めて意義の大きいことです。今後とも積極的にこの問題に取り組んでいきたいと思います。