会報「SOPHIA」 平成21年8月号より

「特集 中高生のためのサマースクール」

弁護士、ちょっとだけ名誉挽回!

弁護士に挑戦


法教育特別委員会 委員
荒川 武志
 今年もやりました!「弁護士に挑戦」。
 テーマに沿って、生徒と弁護士が議論し、生徒たちがその様子を見て勝敗を決めるという講座で、今年も中学生29人、高校生15人が参加してくれました。
 昨年までの通算成績は、弁護士の1勝??敗という、ある意味、生徒想いの勝敗(笑)だったのですが、今年度は、6戦で2勝2敗2分の五分の戦いになりました!

1 中学生の部

中学生の部は、今年は定員を2倍に増やし、多くの生徒たちの挑戦を受けました。

まず、山下陽子会員が登場。「赤ちゃんポストは必要か」とのテーマで「必要ない」との立場に立ちました。生徒たちは「子供の命が最優先」との意見を中心に、作戦タイムも使わず、最後まで自分で考えて主張や反論を展開しましたが、山下会員はこれをかわして、5対2で逃げ切り勝ちを収めました。

次に、昨年唯一の1勝を挙げた松隈知栄子会員が登場。「15歳未満の子供にGPSを持つことを義務づけることに賛成できるか」という難しいテーマに、「賛成できる」との主張を展開し、随分と生徒を困らせましたが、生徒の側から「こじつけではないか」との反論があって、形勢逆転。結局、3対4で生徒の勝ちとなりました。

これとは別の部屋で、もう一つの戦いが行われ、最初に矢崎信也会員が登場し「死刑を廃止すべきか」というシンプルなテーマで、「廃止すべき」との立場で生徒に応戦。生徒からもかなり説得力のある主張が展開されましたが、矢崎会員は、冷や汗をかきつつ事例を交えた主張を展開して盛り返し、4対3で弁護士が勝利しました。

次に、石川恭久会員が登場し、「部活動の加入を強制する制度に賛成できるか」のテーマで「賛成できる」と主張しました。しかし、「部室がない」などの現実論を前に、不利な立場の石川会員は、精神論で戦わざるを得ず、苦しい戦いを強いられましたが、最終的には盛り返し、4対4の引き分けとなりました。

2 高校生の部

対高校生の最終兵器(?)として、今年は、長谷川龍伸会員と小川淳会員を立て、高校生たちの挑戦を受けました。

長谷川会員は、「インターネット掲示板への匿名の書き込みを禁止すべきか」とのテーマで「禁止すべき」の立場から、生徒の主張に一つ一つ切り返し、最後「もう一言!」と熱の入った議論を展開しましたが、3対3の引き分け。判定役のある生徒いわく「最後の発言の意味がわからない…」。勝てる勝負を落とした長谷川会員でした(涙)。

小川会員は、「男女を区別する学校を禁止すべきか」とのテーマで「禁止すべき」との主張を展開しました。しかし、生徒の厳しい応酬に、つい「1%くらい例外はOK」と口にしてしまった小川会員。そこを突破口に生徒が押し切り、6対3で生徒が勝利しました。

3 最後に

時には、弁護士が勝つのは「大人げない」という声もありましたが、生徒たちは、勝利すること以上に、弁護士が自分の意見を正面から受け止めてくれたことに、感銘を受けているようです。従って、弁護士が手加減せず、五分の勝敗を収めたというのは、私は、非常に良いことだと思っています。

希望者の多い講座ですから、来年もしっかり生徒の想いを受け止めてあげたいですね。