会報「SOPHIA」 平成21年8月号より

「特集 中高生のためのサマースクール」

サービストーク満載

裁判官・検察官・弁護士

ここだけの話


法教育特別委員会 委員
太田 重俊
  1.  本講座は、中学生、高校生(約10名の4クラス)が、普段あまり接する機会がないと思われる裁判官、検察官、弁護士(全クラスに各職1名が参加)に仕事内容、日常生活などを自由に質問し、裁判官らが、ここだけしか話せないような本音トークを織り交ぜ、歓談しようというものである。この講座は、サマースクール開始2年目から続く人気講座であり、本年から講座名に、参加者に合わせ、弁護士も加えられた。

  2.  本講座には、裁判所から田端理恵子、山出紗織、伊藤孝至、細井直彰4名の各裁判官、検察庁から天川恭子、横幕孝介、織田良平、鈴木祐子4名の各検事、当会から野村朋加、西川美穂、樅木良一、常川尚嗣4名、司会として中川博晴、野口葉子、尾関信也、上野千晴4名の各会員に担当いただいた。本年の担当者は、司会も含め皆51期から61期であり、特に57期以下が16名中12名という新鮮な顔ぶれである。そのため、学生たちが直ぐに担当者に馴染め、会話が弾み、和やかな雰囲気で進められた。

  3.  本講座に先立って、参加申込者に裁判官らへの質問を募集したところ、用紙いっぱいに記載された質問用紙が、多数返ってきて、開講前から、申込者のこの講座への期待の高さがわかった。また、講座の1週間前に、裁判官ら担当者に集まっていただき、昼食をとりながら、クラス担当者ごとに打合せ、連携を深めて、講座当日を迎えた。

  4.  講座の初め、職業を隠して担当者の自己紹介がされ、続いて司会から、各職業のイメージが聞かれた。学生は、各職業につき知識があり、好意的なイメージの回答が多くされた。次に、司会から、個別に誰がどの職業と思うか、どうしてそう思うかとの質問がされた(午前のクラスでは、修習生にも参加してもらったので、修習生を含めた4者の職業を当てることになった)。この質問に対する答えに、裁判官ら担当者は一喜一憂し、学生だけでなく、担当者も大いに楽しんだ。あるクラスでは、最後に、本講座に参加した結果、法曹三者でどの職に就きたいかとの質問がされ、担当者の予想外にソフトなトークが影響し、検事が1番人気となった。

  5.  学生からは、「刑事裁判で判断に迷ったときどのように結論を決めるのか」、「今日は仲良さそうだが、普段は裁判官、検察官、弁護士は仲が悪いのか」、「将来、法曹になるには今何をしておいたら良いか」、「転勤はどのように決まるか」、「休日は何をして過ごしているか」など多岐にわたる質問がされた。担当者は皆サービス精神旺盛で、職場内部のことやプライベートに関わることなど答えにくいと思われる質問にも、わかりやすい言葉で、丁寧に答えていただいた。

  6.  参加した学生は、将来の職業として法曹を希望している者や夏休みの自由研究の課題にしようとする者など法曹に関心が強い者が多く、本講座での歓談を通し、疑問が解消し、法曹三者をより身近に感じてもらうことができたと思う。

  7.  最後に、本講座にご協力いただいた裁判所、検察庁及び担当者の皆様に厚くお礼を申し上げます。