反貧困・駆け込み相談会

人権擁護委員会　生活保護問題部会　部会員
多重債務対策本部　委員　　高�ﾇ 美奈

１　相談会の趣旨

　３月21日（土）、22日（日）の二日間、名鉄東岡崎駅ビル３階において、愛知派遣村実行委員会主催、愛知県弁護士会、愛知県司法書士会などの後援で、「反貧困・駆け込み相談会」を開催しました。

　東京での派遣村の開催が年末に報道されましたが、非正規労働者の失職者が全国の都道府県で群を抜いて多く最も深刻な愛知こそ、こうした支援が必要であると考えた労働組合、野宿者支援団体、多重債務者支援団体などの諸団体が、協力しあって２月上旬に、実行委員会を発足しました。

　岡崎で開催したのは、愛知県下で、特に、自動車関連企業等に就労する非正規雇用労働者が多い西三河地方が最も影響が深刻だと予想されたことと、ホームレス支援施策が不十分な名古屋以外で名古屋と同様の施策を実現させる必要があったことからです。

　実行委員会では、３月末に「派遣切り」「期間工切り」などで失職者が増えると見込み、急ピッチで準備を行いました。

２　相談者数は２日間で128名にものぼりました。そのうち、半数近い53名が所持金もなく生活保護の申請が必要な人たちでした。また、解雇に伴い住居を失う労働者も多く、深刻な状況でした。

　開催側の相談員数は当会の弁護士や司法書士など延べ73名、ボランティアは当日のみの参加者を含め185名も集まりました。

３　相談会の意義

　多くの相談者が、生活保護、労働、多重債務、住宅、健康・医療といった複数の不安を抱えておられ、弁護士の他、司法書士、社会保険労務士、労働組合関係者、医師、看護師、精神保健福祉士による一か所で生活に関する相談ができるワンストップサービスを提供できたことに大きな意味があったと思います。政府、行政が行わないことを専門職、各種支援団体、市民が結集して行ったわけです。また、市民ボランティアが、相談者に付き添って、相談票の記入や相談の補足を担当したことで、相談が円滑になり、相談の実が上がりました。さらに、相談終了受付を設け、各相談者に対する相談会における結論を確認し、今後、結論に沿った必要なフォローがなされるか確認しました。

　住宅相談については、市等が準備している住宅数が足りなかったり、民間アパートは保証人を要求されることが障害となりがちですが、西三河地方のアパート組合に強力なコネクションを持っておられる杉本みさ紀会員が、家主の皆さんとの厚い信頼関係の下、次々と相談者の入居先を紹介されました。

　３月23日以降は、岡崎、安城、刈谷、知立、豊田で、生活保護の申請が必要な相談者に対しその申請に同行しました。申請に同行したある派遣労働者のケースについて実行委員長である藤井克彦さんに執筆してもらったものが、次ページの原稿です。４月４日には、相談者のその後の状況を把握し必要な支援を行うための交流会を開催しましたが、相談会にとどまらず、アフターフォローを行えたのが、よかったと思います。