会報「SOPHIA」 平成20年8月号より

中高生のためのサマースクール
「町のトラブル解決隊」隊員増殖中!?


   法教育特別委員会 委員
上 野 千 晴


第1 良いルールって何?
「町のトラブル解決隊」と称した本講座は、具体的事例を通して、ルール作りの重要性を体得してもらうことを目的とした講座である。
前半は、携帯電話の持込みに関する校則について問題点を指摘してもらいながら、ルール作りの一般的視点(@公平性、A明確性、B理解の容易性、C実現可能性、D目的の合理性、E手段の適正性など)について考えてもらった。
後半は、ある町で新興住宅が出来たことにより生じた「ゴミ問題」につき、異なる利害を持つ住民の立場に立って、ゴミ収集場所や、ゴミ出しのルール作りをしてもらった。2班に分かれて協議してもらった結果、上記どの視点を重視をしたのか、はたまた隣人への信頼の置き方が如実に反映したともいえる全く異なる2つのルールが出来上がり、興味深い結果となった。概略は以下のとおりである。
【第1班】
@収集場所は、利益地区毎に3箇所。
A週毎に場所を変更し、その都度掲示。
B担当週の人が掃除、違反者・外部者(近くにドーム球場があるため)の見回りをする。
Cゴミ出し時間は、生ゴミの悪臭で商店街が迷惑しないように午前7時〜9時まで。
1班での話し合いは終始穏やかに進み、可能な限り公平であるべきことを主眼に、反論はすぐに受け入れ、みんなで良い町にしていきましょう、といった雰囲気でルールが出来上がった。
【第2班】
@収集場所は1箇所。時間も従来どおり。
A収集場所前の住民に悪臭の迷惑がかからないようにゴミ収集箱を作る。箱は午前7時に短時間自動開閉するのみで監視カメラ3個付き(詳細な絵付き)
B悪臭防止として袋は2重に縛る。
C違反者は収集場所前の住民に罰金を支払う。
2班での話し合いは、ゴミ収集場所や時間は従来どおりとすることを前提に、それにより不利益を被る人への手当をどうするか、という点に主眼を置いたルールとなった。視点をはっきりさせたことにより、明確性や理解のし易さに長けていた。
偶然にも全く異なる視点を中心に置いていたが、いずれも細部までよく考えられた内容となり、子ども達には意見の調整を図ることの難しさ・各種解決策を考えることの楽しさを体得してもらえたのではないかと思う。
第2 隊員認定証
今年初めて、「町のトラブル解決隊隊員認定証」なるものを作成し、積極的に発言した子どもに認定証を渡すという試みをした。子ども達からは、「もっとカラフルに!」「もっとゴージャスに!」などの意見も出されたが、注文が付く=興味有りということで、意外と好評だったのでは・・・!?
第3 課題
今後の課題は、何と言っても参加者の確保である。今年は8名応募の6名参加に止まり、反面、弁護士等が12名というある種特殊な雰囲気の中での開催であった。法教育のはじまり、とも言えるこの講座には是非多くの子ども達に参加してもらいたい。効果的な対策を講じることは不可欠の課題だ。





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