1 平成20年7月30日に岐阜刑務所見学及び懇談会がありました。当会の会員23名、修習生5名が参加しました。岐阜刑務所は岐阜市の則松という、周りを山に囲まれたような田舎にあって、とにかく猛烈な暑さが印象的でした。
- 2 過剰収容
- 収容定員が890名のところ、平成19年の平均受刑者数は986人、最大時は1,000人を超えたそうです。ちなみに平成6年は600名でした。
独居なのに2人で使っている部屋もあり、雑居にも無理やり人を詰め込むために2段ベッドのようなものが置いてありました。昼間、冷房のない工場で汗だくになって、夜も冷房のない中で毎晩男同士が肌を寄せ合って寝ているというのは想像するだけでも苦しくなるような光景です。
夏場は、さすがにシャワーだけは毎日浴びさせており、密集度が高い部屋では夜間扇風機の使用を認めているようです。
岐阜刑務所の職員数は201名で、1人で5人を見る負担率は高く、有休は取れていないそうです。
- 3 受刑者の内訳
- LB(執行刑期8年以上の累犯)が752名で、無期刑受刑者が173名、岐阜刑務所全体の約18%が無期です。全国に無期刑受刑者が約1,800名いるそうなので、全国の約1割の無期刑受刑者が岐阜刑務所にいることになります。無期の罪名別人員は、殺人が56名、強盗殺人等が108名、薬物が3名、性犯罪が6名です。
- 4 無期刑受刑者について
- 収容期間は、10年未満が97名、10〜20年が33名、20〜30年が35名、30〜40年が8名です。
仮釈放についてですが、平成14年に1名認められたのを最後に、ここ5年間では1名も認められていないそうです。年に1、2件は申請を出しているそうですが、現場では五分五分と予想している件であっても、社会の目が厳しくなったという理由でほとんどが却下されているとのことでした。今は30年勤めても出るのが難しいというのが無期懲役の実態のようです。少なくとも年に1人くらいは仮釈放がないと無期刑受刑者の励みがなくなってしまう、と刑務官の方がぼやいておられました。
他方、新たに収容された無期刑受刑者数は、平成17年が25名、平成18年が7名、平成19年が14名となっています。
懇談会で無期刑受刑者の処遇の難しさという点について質問したところ、例えば、何年も前の些細な出来事をいつまでも根に持ち続けるなど、粘着質な人が多くて苦労する、という声がありました。
- 5 感想
- 長期刑の施設ということもあり、岐阜刑務所が非常にストレスに充ちた空間であるように感じたというのが第一の感想です。
工場内を見学させてもらい、作業をしている生の受刑者の方を目にしたときには、この人達も皆、生まれてきたときはこんな人生になるはずじゃなかっただろうに、一体どんなことを背負ってここに来てしまったんだろうなあ、などと思ったりして、やはりLB級の刑務所には独特なものを感じさせられました。