会報「SOPHIA」 平成20年8月号より
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【犯罪被害者支援連載シリーズ11】
犯罪被害者による少年審判傍聴が可能になりました
犯罪被害者支援特別委員会 副委員長
宇 田 幸 生
1、はじめに
平成20年6月11日に犯罪被害者・遺族(以下「被害者等」と言います)による少年審判傍聴を認めること等を内容とする「少年法の一部を改正する法律」が成立しました。少年審判傍聴を認める改正部分は、公布日である平成20年6月18日から起算して6か月を超えない範囲内において政令で定める日から施行されることになります。
被害者等による審判傍聴制度は、平成16年12月に成立した犯罪被害者等基本法、及びこれを受けて平成17年12月に閣議決定された犯罪被害者等基本計画に基づいて設けられた制度です。被害者等にとっては、少年に対する処遇の決定過程を直接見聞きでき、リアルタイムで情報を入手することができる点で、他の制度では代替できない大きな意義を有している制度と言えます。もっとも、他方において、被害者等による審判傍聴の結果、一般に精神的に特に未成熟と言われている少年が審判で委縮する等し、少年法の目的である少年の健全な育成が妨げられることがあってはなりません。この点を踏まえ、国会では「犯罪被害者等の尊厳にふさわしい処遇の保障という犯罪被害者等基本法の基本理念を十分に尊重しつつ、今後とも少年の健全な育成という少年法の目的が確実に達成されるよう努めること」等を内容とする附帯決議を行っています。また、改正法も、政府に対し、改正法施行後3年を経過した後、その施行状況を検討の上、必要があると認めるときには、所要の措置を講ずるよう求めています。
2、審判傍聴制度概要(法22条の4及び5)
(1) 傍聴対象となる事件
犯罪少年または触法少年(12歳に満たない少年を除く)に係る事件で、故意の犯罪行為または業務上過失致死傷の罪により被害者を死亡させた事件、若しくは生命に重大な危険を生ぜしめる傷害を与えた事件が傍聴の対象となります。
(2) 傍聴許可の基準及び手続
被害者等から傍聴の申出があった場合、家庭裁判所は、少年の年齢及び心身の状態、事件の性質、審判の状況その他の事情を考慮して、少年の健全な育成を妨げるおそれがなく相当と認めるときに傍聴を許可することになります。但し、家庭裁判所が傍聴を許可する場合には、あらかじめ弁護士である付添人の意見を聴かなければならず、少年に弁護士である付添人が付いていない場合には、原則として付添人を付した上で、その意見を聴かなければなりません。
(3) 傍聴人の付添人
家庭裁判所は、被害者等に傍聴を許可する場合において、傍聴する者の年齢、心身の状態その他の事情を考慮し、傍聴をする者が著しく不安または緊張を覚えるおそれがあると認めるときは、その不安又は緊張を緩和するのに適当であり、かつ、審判を妨げ、又はこれに不当な影響を与えるおそれがないと認める者を、傍聴する者に付き添わせることができます。
(4) 座席の配置等への配慮
家庭裁判所は、傍聴を許可する場合には、審判廷における傍聴人や傍聴人の付添人の座席の位置、裁判所職員の配置を決めるにあたり、少年の心身に及ぼす影響に配慮しなければならないこととされています。
(5) 傍聴人・傍聴人付添人の守秘義務
傍聴人や傍聴人の付添人は、家庭裁判所より傍聴が許可された場合、審判傍聴によって知り得た少年のプライバシー等を正当な理由なく漏洩してはならない等の義務が課されます。
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