会報「SOPHIA」 平成20年07月号より


【犯罪被害者支援連載シリーズ】
「犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律」が一部改正されました。


犯罪被害者支援特別委員会 委員  西 村 茂 樹

犯罪被害者等給付金の支給等に関する法律が一部改正され、平成20年7月1日から施行されました。今回の改正は、犯罪被害者等基本法の「犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう支援する」という基本理念に立脚して、犯罪被害給付制度を拡充することを目的としています。

1、従前からの制度概要

犯罪被害者等給付金は、生命身体を害する故意犯(過失犯を除く)により生じた死亡、障害、重傷病を対象としています。

死亡の場合には死亡した者の第1順位遺族に「遺族給付金」が、障害(障害等級1〜14級)の場合には「障害給付金」が、重傷病の場合(加療期間1月以上かつ入院期間3日以上。但し、犯罪被害に起因するPTSD等の精神疾患については、症状の程度が3日以上労務に服することができない程度の場合にも対象となる。)には「重傷病給付金」が支給されることになります。但し、被害者にも原因がある場合、親族間の犯罪の場合、労災保険や犯罪被害を原因とした損害賠償等により損害が填補された場合には、支給されないことがあります。

なお、平成13年7月1日までに発生した犯罪に対しては旧法が適用され、上記内容と異なるのでご注意下さい。

また、支給手続は、都道府県公安委員会に申請し裁定を受ける必要があります。

2、改正概要
  1. 法律名が「犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律」に改正されました。
  2. 従前の目的に「犯罪被害者等が再び平穏な生活を営むことができるよう支援すること」が追加されました。
  3. 申請期間について、犯罪行為による死亡等を知ってから2年以内、犯罪行為が発生してから7年以内に申請しなければなりませんでしたが、やむを得ない理由により申請できなかったときは、その理由のやんだ日から6月以内に申請することが可能と改正されました。
  4. 支給内容について、重傷病給付金につき、「医療費の自己負担部分」のみでしたが、さらに「重傷病の療養のため休業した場合の休業損害を考慮した額」が加算されることになりました(但し、上限額120万円)。
  5. 支給額について、以下の表のとおり障害給付金のうち重度後遺障害者(障害等級1〜3級)に対する障害給付金及び生計維持関係のある遺族に対する遺族給付金の支給額が大幅に引き上げられました。
    障害給付金
    (改正前)
    等級第1〜14級 1,849〜331万円(但し、14級は69〜18万円)
    (改正後)
    等級第1〜3級 3,974.4〜1,056万円
    第4〜14級  1,269〜18万円
    遺族給付金
    (改正前)
    1,573〜320万円
    (改正後)
    一定の生計維持関係
    遺族がいる場合  2,964.5〜872.1万円
    それ以外の場合  1,210〜320万円
  6. 国家公安委員会、都道府県公安委員会は民間団体の活動促進を図るための措置等を講ずるように努めることとされました。
3、なお、詳細な法律規則等の改正内容については、
  警察庁ホームページ(http://www.npa.go.jp/のトピックス欄をご覧下さい。




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