会報「SOPHIA」 平成19年8月号より

今年もサマースクール、開校

 

法教育特別委員会副委員長
兼サマースクール校長
山 下 勇 樹

1 5年目を迎えたサマースクール

今年も当会館にて7月30日から8月3日までサマースクールを開校した。

初回(平成15年)のキャッチコピーを確認してみると「夏休みの自由研究・職場訪問を何にしようか考えている中高生の皆さん!この夏、名古屋弁護士会がオープンスクールを開催します。」とあった。弁護士会の広報も兼ね、司法に興味を持つ意欲のある中高生を弁護士会に迎え入れたいとの熱い思いからこの企画をスタートさせたものと思われる。

それから5年目。広報の意識、本物の裁判や生の裁判官、検察官、弁護士に接してもらいたいとの思いのほか、異なる他人の意見を尊重しながら自分の意見を根拠をもって発表し、他者とコミュニケーションをとりながら問題を解決する力を身につけてもらいたい、とする「法教育」の一つの大きな目的が明確に意識されてきている。前半に「法廷傍聴」続いて「専門講座」、最終日には「刑事模擬裁判」という構成もほぼ定着した。本年の参加者は137名、のべで237名。

2 参加生徒の声
「この夏の3日間でいろんな角度・視点から物を見る目を養うことができました」(中2女)、「意見の言い方、評価の仕方がだんだんわかってきておもしろかったです」(中3女)、「いろいろ深く考えられたし、話す能力、聞く能力が少し養われた」(高2女)、「事実を求めることがこんなに難しいことだと知ってびっくりした」(中3男)、「もしかすると、答えが出ないのは悪いことではないと思えた」(高2男)等々のほか、「なかなか弁護士について知る機会がなかったが、今回講座に出ることでイメージが沸いた。進路を考える上でプラスの体験になった」(高2女)との声もあった。
3 感動したこと
刑事模擬裁判での評議でのこと。終盤になってもただ一人有罪を維持する生徒がいた。同じ高校の友人と思われる生徒も含めてみんなが無罪の根拠を堂々と述べる中、彼女は辛かったと思うが、有罪であることを、意地になるのではなく、必死になって説明していた。映画「12人の怒れる男」を思い出した。少数意見でも説得と議論を通じて多数意見になりうる、多数意見もその理を理解して少数意見を尊重する、という雰囲気がそこにあった。上記「参加者の声」を含め、我々がサマースクールで伝えたいと思うことが中高生に着実に届いていることを実感した。
4 課題
ずばり広報である。毎年参加者が微減している。今回は模擬調停「めざせ円満解決」が申込者些少のため泣く泣く開催中止ともなった。アンケートでは「また来たい」との意見も多く、毎年参加の熱心なリピーターも少なくないが、なかなか参加者増とはなっていない。講師派遣授業とならびこのサマースクールは法教育の貴重な実践の場である。上記参加生徒の声をかみしめ、精力的に企画運営してくれた関係者の方々に思いを馳せれば、多くの生徒にまずこのサマースクールの存在を知ってもらうほかない。県内の中高にはDMを送付しているが、それも他の多くのDMに埋没しているようで生徒まで伝わっていない実態があると聞く。今年も今一歩の努力が足りなかったというほかない。反省。
5 最後に
協力して下さった裁判官、検察官の方々、今回携わっていただいた方々、ありがとうございました。来年もよろしくお願い致します。





行事案内とおしらせ 意見表明