会報「SOPHIA」 平成19年8月号より

裁判官、検察官、ここだけの話

   法教育特別委員会 副委員長
伊 藤 倫 文


  1. 本講座は、学生(中学生または高校生)約10名に対し、裁判官、検察官、弁護士が各1名ずつ加わり、もう一人別の弁護士が進行役をつとめて、学生の質問に講師が答えるかたちをとっており、本年度は、中高各2コマずつ開催した。

    参加いただいた講師は、高橋正典、川崎学、小林健留、溝田康之の各裁判官(各1コマ)、堀本久美子、森幹の各検察官(各2コマ)、松田太源、原武之、清水加奈美、西川美穂の各弁護士(各1コマ)であり、福本博之弁護士と私が進行役をさせていただいた。


  2. 講座は、いずれも、最初、誰が裁判官であるか等をいっさい伏せて、学生から、各講師がどの職業にみえるかを尋ねてみた。学生から理由も尋ねてみると、学生の眼からみた、各々の職業に対するイメージを聞くことができ、また、各講師に対するイメージも語られ、各講師もときにはショックを受けていた。

    そして、各講師に簡単な自己紹介をしていただいたうえで、学生から質問がなされた。

    学生からは、どうしてその職業に就こうと思ったのか、どうすればなれるのか、仕事のやりがいは何かといった質問のほか、各々の職業における悩みなどの質問もなされた。更に、普段、どんな生活をしているのか、収入はどのくらいあるのか、果ては、高校時代の偏差値は・・等々さまざまな質問がなされた。また、裁判員制度に関心をもっている学生もいて、家でも話題になっている等の発言もあって、ほっと、安心している講師もいた。

    裁判官には、法服を用意していただき、生徒たちもそれに袖を通したり、写メを撮ったりして楽しんだりもしており、また、各々のバッジも手にした。そのなかで、我々も初めて聞くような話も聞けて興味深い。たとえば、裁判官のバッジには、番号が付いてなく、検察官のバッジには、番号が付いているが、弁護士のような登録番号でなく、バッジの発行番号であって、男性用と女性用で、別々の通し番号が付されていることなどを知ることができた。


  3. サマースクールの他の講座では、中高生がある問題(課題)に取り組んで、一緒に考え、そのなかで法感覚を身につけてもらうことを期待しているのに対し、本講座は、中高生が普段あまり接することのない、法曹三者と直接話をすることにより、法曹に興味をもってもらったり、法に興味をもったりしてもらえればとの期待がこめられている。そして、各講師も、中高生の質問であるからこそ、本音で語ってくれる面もあって、中高生にとって、貴重な経験になったことであろう。そして、もともと、法曹になるつもりで応募してくる学生もおり、今後の進路に少なからず影響を与えてもいるとも思われる。

    今後も、このような機会を持ち続けることができればと思うとともに、今回、参加していただいた講師の皆様、ならびにご協力いただいた名古屋地裁、名古屋地検に感謝したい。






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